米・イスラエルがイランを攻撃し、原油輸送の要衝ホルムズ海峡が封鎖状態に。ガソリンだけでなく電気代・食料品にも波及する「イランショック」をわかりやすく解説します。
2026年2月28日、アメリカとイスラエルが共同でイランへの大規模攻撃を開始しました。イランの最高指導者ハメネイ師が死亡し、中東情勢は一気に緊迫化しています。
これを受けてイランは、世界の石油の「大動脈」であるホルムズ海峡を封鎖。世界中に届けられるはずだった石油・天然ガスのタンカーが、この狭い海峡を通れなくなりました。
ホルムズ海峡とは? ペルシャ湾とインド洋をつなぐ幅約50kmの海峡。世界の石油の約2割、天然ガス(LNG)の約2割がここを通過します。日本の原油輸入の9割以上もここ経由です。
まず誰もが感じるのはガソリン代の上昇です。原油価格は攻撃前の72ドルから117ドル超に急騰しており、このまま続けば1リットル200円超えのシナリオも現実味を帯びています。
しかし専門家が最も警戒するのは、ガソリンより「電気」への影響です。日本の発電量の約3分の1はLNG(液化天然ガス)を燃やして作られており、そのLNGもホルムズ海峡を通って運ばれてきます。
「LNG備蓄は約3週間分しかない。封鎖が長引けば電力供給そのものが危うくなる。停電が起きれば、病院の医療機器も、交通信号も止まる」(エネルギー専門家)
東京電力をはじめとする大手電力会社は、燃料コストの上昇を受けて4月にも企業向け電気料金を引き上げる方向で調整しています。企業のコストが上がれば、食品や日用品など幅広い物価に転嫁されます。家庭向けの料金も追って引き上げられる見通しです。
さらに、電気・ガス代への政府補助金が3月末で切れるタイミングと重なるため、4月は二重の値上げ圧力がかかる構図になっています。
経済産業省は3月2日、緊急のエネルギー対策本部を設置。石油備蓄の放出やガソリン補助金の継続を決定しました。ただ、これらは時間稼ぎの対策であり、封鎖が長期化した場合の抜本策はまだ見えていません。
今回の危機で改めて注目されているのが原発の再稼働です。原発は石油や天然ガスと違い、燃料(ウラン)を数年分まとめて確保できるため、海外からの輸送ルートに左右されません。「中東に頼らない電源」として、再稼働を求める声が政界・経済界で急速に高まっています。
軍事的な衝突は続いており、停戦への道筋はまだ見えていません。イスラエルは攻撃を「少なくともあと3週間継続する」としており、LNG備蓄の持ち時間との競争が始まっています。エネルギーの9割以上を輸入に頼る日本にとって、遠い中東の戦火は「自分ごと」の問題です。