コラム
コラム

再生可能エネルギー導入企業増加中!各社の取り組みを紹介!

脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの導入は企業にとって喫緊の課題となっています。環境規制の強化、投資家からのESG対応要求、サプライチェーン全体での脱炭素化の流れを受けて、大企業から中小企業まで、あらゆる規模の企業が再生可能エネルギーへの転換を進めています。

この記事では、再生可能エネルギーの基礎知識から、企業が導入する際のメリット・デメリット、具体的な導入方法、活用できる補助金制度、そして実際に導入している企業の事例まで、詳しくご紹介していきます。自社での再生可能エネルギー導入を検討されている方、環境経営を推進したい方にとって、実践的な情報が満載の内容です。


再生可能エネルギーとは?

再生可能エネルギーという言葉は日常的に耳にするようになりましたが、その正確な定義や種類について理解できているでしょうか。ここでは、再生可能エネルギーの基本的な知識として、主な種類とその特徴、そして混同されやすい「自然エネルギー」との違いについて解説していきます。

再生可能エネルギーの種類

再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、水力など、自然界に常に存在し、枯渇することなく繰り返し利用できるエネルギー源のことを指します。日本の「エネルギー供給構造高度化法」では、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱、バイオマスの7つが再生可能エネルギーとして定義されています。

太陽光発電は最も普及が進んでいる方法です。太陽の光エネルギーを太陽電池パネルで直接電気に変換する仕組みで、企業の工場やオフィスビルの屋根、遊休地などに設置できます。初期費用は1kWあたり20万円から30万円程度が目安で、10年から15年程度で投資回収できる場合が多いです。設置場所の制約が比較的少なく、規模に応じて柔軟に導入できる点が大きなメリットです。

風力発電は風の力でタービンを回転させて電気を作り出す方法です。陸上風力発電と洋上風力発電の2種類があり、設備利用率が高く、1基あたりの発電量が大きいという特徴があります。大型の風力発電機1基で一般家庭約1000世帯分の年間電力消費量を賄うことができます。

水力発電は、水が高い場所から低い場所に流れる際のエネルギーを利用します。小規模な河川や農業用水路を活用した小水力発電も注目されており、天候に左右されにくく、安定した発電が可能な点が最大の利点です。

地熱発電は、地下深くにあるマグマの熱エネルギーを利用する方法です。24時間365日、天候に関係なく安定して発電できるという特徴があり、設備利用率は約70%と非常に高くなっています。

バイオマス発電は、動植物などの生物資源を燃料として発電する方法です。木材チップ、間伐材、食品廃棄物など、さまざまな有機性資源を燃料として活用できます。ライフサイクル全体で見るとカーボンニュートラルとみなされる点が特徴です。

再生可能エネルギーと自然エネルギーの違い

自然エネルギーとは、自然界に存在するエネルギーのことを指し、太陽光、風力、水力、地熱などが該当します。一方、再生可能エネルギーは、自然エネルギーに加えて、人間活動から生まれるバイオマスなども含む、より広い概念です。

太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電は自然エネルギーであり、同時に再生可能エネルギーでもあります。しかし、バイオマス発電は再生可能エネルギーには含まれますが、厳密には自然エネルギーとは言えません。企業が導入を検討する際には、エネルギー政策や補助金制度では「再生可能エネルギー」という用語が正式に使われるため、この表現を理解しておくとよいでしょう。


企業が再生可能エネルギーを導入するメリット・デメリット

再生可能エネルギーの導入を検討する際、企業が最も気になるのが「本当にメリットがあるのか」「どのようなリスクがあるのか」という点ではないでしょうか。ここでは、導入で得られる具体的なメリットと、同時に考慮すべきデメリットについて解説します。

メリット:コスト削減、環境負荷低減、企業イメージ向上など

まず最も直接的な効果として、長期的な電気料金の削減が挙げられます。太陽光発電などの自家消費型システムを導入した場合、電力会社から購入する電力量が減少するため、月々の電気代を削減できます。たとえば、工場の屋根に500kWの太陽光発電システムを設置した場合、年間約1000万円から1500万円の電気代削減効果があります。初期投資は約1億円から1億5000万円程度必要ですが、10年から15年程度で投資を回収できます。

さらに、電気料金の変動リスクを回避できる点も大きなメリットです。化石燃料価格の高騰や為替変動の影響で電気料金が上昇しても、自家発電している分については料金上昇の影響を受けません。2022年から2023年にかけて電力価格が大幅に上昇した際、再生可能エネルギーを導入していた企業は、電気料金の上昇幅を20%から40%程度抑えることができました。

環境面では、CO2排出量を大幅に削減できるため、企業の環境目標達成に直結します。年間100万kWhの再生可能エネルギーを導入した場合、約450トンのCO2排出削減効果があります。カーボンニュートラル目標を掲げる企業にとって、最も効果的な削減手段の一つです。

企業イメージの向上も重要です。再生可能エネルギーを積極的に導入している企業は社会的評価が高まります。特にBtoB取引では、サプライチェーン全体での脱炭素化が求められており、再生可能エネルギーを導入していることが取引条件になるケースも増えています。

投資家からの評価向上も見逃せません。ESG投資が主流となる中、再生可能エネルギーの導入はESG評価を高める重要な要素となっています。これにより、機関投資家からの投資を呼び込みやすくなり、資金調達コストの低減にもつながります。

デメリット:初期投資費用、天候依存性、立地条件の制約など

最大の課題は初期投資費用の大きさです。太陽光発電システムを例にとると、数百kWから数MWの規模で、初期投資額は数千万円から数億円に達します。500kWのシステムであれば1億円から1億5000万円、1MWであれば2億円から3億円の投資が必要です。特に中小企業にとっては大きな財務的負担となります。

天候依存性も課題です。太陽光発電は日照時間や天候に左右され、夜間や雨天時には発電できません。風力発電も風の強さによって発電量が変動します。太陽光発電の設備利用率は約13%程度であり、設備容量の1割程度しか実際には発電できないという現実があります。

発電量の変動性に対応するため、蓄電池を併設したり、複数の発電方式を組み合わせたりする必要があり、追加のコストがかかります。蓄電池の導入費用は1kWhあたり15万円から25万円程度が目安です。

立地条件の制約も無視できません。太陽光発電を効率的に行うには、日当たりの良い広いスペースが必要です。工場の屋根が北向きだったり、周囲に高い建物があって影になったりする場合は、十分な発電量を確保できません。

メンテナンスコストも考慮が必要です。太陽光パネルは定期的な清掃が必要で、パワーコンディショナーは10年から15年程度で交換が必要になり、数百万円から数千万円の交換費用が発生します。


再生可能エネルギーの導入方法

再生可能エネルギーを導入する方法は一つではありません。企業の規模や予算、施設の状況によって、最適な導入方法は異なります。ここでは、現在企業に広く採用されている主要な3つの導入方法について解説します。

PPA(電力購入契約)

PPA(Power Purchase Agreement、電力購入契約)とは、発電事業者が企業の敷地内や屋根に太陽光発電設備を設置し、そこで発電された電力を企業が購入する契約形態です。この方式の最大の特徴は、企業側が設備投資をする必要がなく、初期費用ゼロで再生可能エネルギーを導入できる点です。

具体的には、発電事業者が設置費用をすべて負担し、企業はその発電設備で作られた電力を、電力会社から購入する電力よりもやや安い価格で購入します。契約期間は一般的に10年から20年程度で、契約期間終了後は、設備を企業に無償譲渡するケースが多くなっています。

PPAのメリットは、初期投資が不要で、設備の保守・メンテナンスも発電事業者が行うため、企業側は維持管理の手間やコストがかかりません。また、電力料金が長期的に固定されるため、電力価格の変動リスクをヘッジできます。

デメリットとしては、長期契約が必要なため、契約期間中に工場を移転したり、建物を取り壊したりする場合、違約金が発生することがあります。

自家消費型

自家消費型とは、企業が自ら太陽光発電設備を購入・設置し、発電した電力を自社で消費する方式です。設備の所有権が企業にあるため、長期的に見れば最も経済的メリットが大きい方法と言えます。

自家消費型の最大のメリットは、長期的なコスト削減効果が最も大きい点です。初期投資は必要ですが、10年から15年程度で投資を回収でき、太陽光パネルの寿命は25年から30年程度あるため、投資回収後の15年から20年間は、実質的にタダで電力を使用できます。また、設備が自社資産となるため、減価償却費として計上でき、税務上のメリットも享受できます。

デメリットは、やはり初期投資の大きさが最大の課題です。数千万円から数億円の投資を一括で行う必要があり、設備の保守・メンテナンスも自社で行う必要があるため、維持管理コストと手間がかかります。

オンサイトPPA

オンサイトPPAは、PPAの一種ですが、特に企業の敷地内(オンサイト)に発電設備を設置する形態を指します。発電設備が企業の建物の屋根や敷地内に設置されるため、送電ロスが少なく、効率的に電力を利用できる点が特徴です。

オンサイトPPAは、広い屋根や敷地を持つ企業(物流倉庫、製造工場など)、日中の電力消費が多い企業初期投資を抑えたい企業に特に適しています。

近年は「オフサイトPPA」という形態も注目されています。これは、企業の敷地外に設置された再生可能エネルギー発電所から、送電網を通じて電力を購入する契約です。自社の敷地に十分なスペースがない企業や、より大規模な再生可能エネルギーを調達したい企業に適しています。


再生可能エネルギー導入を支援する補助金・支援制度

再生可能エネルギーの導入には多額の初期投資が必要ですが、国や地方自治体はさまざまな補助金や支援制度を用意しており、導入コストを大幅に削減できます。

経済産業省の「需要家主導による太陽光発電導入促進補助金」では、企業が太陽光発電設備を導入する際に、設置費用の3分の1から2分の1程度が補助されるケースが多く、数千万円から数億円規模の補助を受けられる場合もあります。

「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」では、蓄電池と組み合わせた太陽光発電システムの導入に対して補助が行われています。太陽光発電設備については1kWあたり4万円から7万円、蓄電池については1kWhあたり3.7万円から6.3万円の補助が受けられます。

環境省の「PPA活用など再エネ価格低減等を通じた地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」も重要な支援制度で、PPAモデルや自家消費型の太陽光発電設備の導入に対して補助が行われています。

地方自治体レベルでも独自の補助金制度が用意されています。東京都では「地産地消型再エネ増強プロジェクト」として最大1億円の補助を行っています。国の補助金と自治体の補助金を組み合わせることで、より大きな支援を受けられる場合もあります。

税制面では、「再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置」により、固定資産税が軽減されます。また、「中小企業経営強化税制」を活用すれば、即時償却または税額控除(取得価額の10%)を選択できます。


企業による再生可能エネルギー導入事例

ここからは、実際に再生可能エネルギーを導入し、成果を上げている企業の具体的な事例をご紹介します。

事例1:太陽光発電を導入し、CO2排出量を削減

サントリーグループは、全国の工場や物流施設に太陽光発電システムを導入し、CO2排出量の大幅な削減を実現しています。白州工場、南アルプス白州工場などに大規模な太陽光発電システムを設置し、年間数千MWhの電力を自家発電しています。

さらに、オフサイトPPAも活用し、2021年には北海道に建設された大規模太陽光発電所と長期の電力購入契約を結び、年間約10万MWhの再生可能エネルギーを調達しています。複数の導入方法を組み合わせて大規模に再生可能エネルギーを調達する好事例です。

事例2:風力発電で地域貢献と事業継続性を両立

イオングループは、風力発電事業への投資と電力購入を通じて、店舗運営の脱炭素化と地域経済への貢献を両立させています。北海道や東北地方の風況の良い地域に大規模風力発電所を建設し、イオンモールやイオンスタイルなどの店舗で使用する電力として調達しています。

風力発電を選択した理由は、設備利用率の高さです。太陽光発電の約13%に対し、風力発電は約20%から30%と高く、昼夜を問わず発電できるため、営業時間の長い小売店舗の電力需要パターンとも適合しています。

事例3:バイオマス発電で資源循環型社会に貢献

王子ホールディングスは、製紙工程で発生する廃材や黒液をバイオマス燃料として活用し、工場内の電力や熱を自家発電しています。現在では国内工場で使用するエネルギーの約60%をバイオマス由来でまかなっています。

富岡工場では、木質バイオマス専焼発電設備を導入し、年間約74,000MWhの電力を発電しており、そのうち約半分を地域に供給しています。従来は処分コストがかかっていた廃材が、エネルギー源として価値を生み出す資源循環型の持続可能な製造プロセスが構築されています。

事例4:PPAを活用し、再生可能エネルギー電力を調達

SGホールディングス(佐川急便グループ)は、初期投資ゼロで太陽光発電を導入できるPPAモデルを積極的に活用しています。全国の物流施設約100か所に太陽光発電システムを設置する計画を進めており、合計で約30MWの太陽光発電設備を導入する予定です。年間約3,600万kWhの再生可能エネルギーを調達でき、約1万6,000トンのCO2排出削減効果が見込まれています。

PPAモデルを選択した理由は、初期投資が不要で、かつメンテナンスも事業者側が行うため、本業である物流事業に経営資源を集中できる点にあります。

事例5:RE100を達成した企業の取り組み

リコーは、日本企業として初めてRE100達成に向けた取り組みを進めています。RE100とは、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的な企業連合です。

リコーは自社施設への太陽光発電設備の設置、グリーン電力証書の購入、オフサイトPPAなど、多様なアプローチを組み合わせています。RE100達成により、環境意識の高い顧客からの評価が向上し、特に欧州市場での受注が増加しました。


再生可能エネルギー導入の手順

再生可能エネルギーの導入を成功させるためには、計画的かつ段階的なアプローチが重要です。

ステップ1:現状分析とニーズの把握では、自社の電力使用状況を詳細に分析します。月別、時間帯別の電力使用量を把握し、現在の電気料金や、自社の環境目標を明確にします。

ステップ2:導入可能性の調査では、屋根や敷地の広さ、方角、日当たりなどを調査します。この段階で、専門業者に予備調査を依頼することをお勧めします。

ステップ3:導入方法の選定では、自家消費型、PPA、オフサイトPPAなど、どの導入方法が自社に最適かを判断します。

ステップ4:業者の選定と見積もり取得では、複数の業者から提案と見積もりを取得します。最低でも3社から5社程度の見積もりを比較しましょう。

ステップ5:補助金の申請では、活用できる補助金制度を調査し、申請手続きを行います。補助金の申請は設備の発注前に行う必要がある場合が多いため、スケジュールに注意が必要です。

ステップ6:契約と設備の設置では、選定した業者と正式に契約を結び、設備の設置工事を開始します。

ステップ7:運用開始とモニタリングでは、発電量や電力使用量、コスト削減効果などを継続的にモニタリングします。


業者選びのポイント

再生可能エネルギー導入の成否は、業者選びで大きく左右されます。まず、実績と経験を確認しましょう。これまでの導入実績や、同じ業種の企業への導入事例があるかを確認します。

次に、提案力と技術力も重要です。企業の電力使用パターンを分析し、最適なシステム設計を提案できる業者を選びましょう。

保証内容とアフターサービスも十分に確認してください。定期点検やメンテナンスサービス、故障時の対応体制などを確認し、緊急時に迅速に対応してくれる体制があるかどうかを見極めます。

価格の透明性も重要です。見積もりが詳細に項目分けされており、何にいくらかかるのかが明確に分かる業者を選びましょう。


まとめ:再生可能エネルギーで持続可能な社会の実現に向けて

再生可能エネルギーの導入は、あらゆる企業にとって必要不可欠な経営課題となっています。太陽光発電、風力発電、バイオマス発電など、さまざまな選択肢があり、自家消費型、PPA、オフサイトPPAなど、多様な導入方法が用意されています。

再生可能エネルギー導入のメリットは多岐にわたります。電気料金の削減、CO2排出量の削減、企業イメージの向上、投資家評価の向上など、環境面と経営面の両方で大きな効果が期待できます。初期投資の負担や天候依存性などのデメリットもありますが、PPAの活用や補助金の利用によって、これらの課題を軽減できます。

重要なのは、まず一歩を踏み出すことです。小規模なシステムから始めて、効果を確認しながら段階的に拡大していくアプローチも有効です。専門業者や自治体の支援を積極的に活用し、自社に最適な導入計画を立てることが成功への近道です。

再生可能エネルギーの導入は、企業の持続可能性を高め、将来にわたって競争力を維持するための戦略的投資です。ぜひこの記事を参考に、自社での再生可能エネルギー導入を検討してみてください。

※この記事に掲載されている具体的な料金はあくまでも目安としてご参考ください。

エーラベルは電気代削減のための
気軽な相談窓口です。

簡単で手間なくお得な電気料金プランへお切り替えいただけます。

まずはどれだけお安くなるのかお試しください!

エーラベルは電気代削減のための
気軽な相談窓口です。

簡単で手間なくお得な
電気料金プランへ
お切り替えいただけます。

まずはどれだけお安くなるのか
お試しください!

一覧へ戻る