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カーボンニュートラル実現に向けた企業の取り組み事例10選をご紹介!

気候変動への対応が世界的な課題となる中、カーボンニュートラルの実現は企業にとって避けて通れない重要なテーマとなっています。この記事では、カーボンニュートラルの基本的な考え方から、実際に先進的な取り組みを進めている企業の具体的な事例まで、詳しくご紹介していきます。これからカーボンニュートラルに取り組もうとしている企業の担当者の方や、環境問題に関心のある方にとって、実践的なヒントが得られる内容となっています。


カーボンニュートラルとは?企業にとってなぜ重要なのか

カーボンニュートラルという言葉を耳にする機会が増えていますが、その正確な意味や企業が取り組むべき理由について理解できているでしょうか。ここでは、カーボンニュートラルの基本的な定義と、なぜ今、企業にとってこれほど重要なテーマになっているのかについて解説していきます。

カーボンニュートラルの定義と背景

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることで、実質的な排出量をゼロにするという考え方です。具体的には、企業活動において発生するCO2などの温室効果ガスの排出量を可能な限り削減した上で、どうしても排出されてしまう分については、森林保全や植林によるCO2吸収、カーボンクレジットの購入などによって相殺し、全体としてプラスマイナスゼロを目指すというものです。

この概念が世界的に注目されるようになった背景には、深刻化する気候変動問題があります。2015年に採択されたパリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をするという目標が掲げられました。日本政府は2020年10月に、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、欧州連合(EU)や米国、中国なども同様の目標を掲げています。

企業が取り組むべき理由

企業がカーボンニュートラルに取り組むべき理由は、環境保護という倫理的な側面だけではありません。ビジネスの持続可能性、競争力の維持、そして新たな成長機会の獲得という、経営戦略上の重要な要素が多数存在します。

まず、規制面での対応が挙げられます。各国政府は温室効果ガス排出削減に向けた規制を強化しており、炭素税の導入や排出量取引制度の拡大など、企業の排出量に対してコストが課される仕組みが広がっています。たとえば、EUでは国境炭素調整措置(CBAM)が段階的に導入されており、早期に対応しなければ、国際的なビジネス展開において不利な立場に立たされる可能性があります。

次に、投資家からの要求も無視できません。ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が主流となる中、機関投資家は企業の気候変動対策を重要な投資判断基準としています。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示を求められるケースが増えており、温室効果ガス排出量の測定・報告・削減計画の策定が事実上の必須事項となっています。

さらに、サプライチェーン全体での対応も求められています。大手企業は自社だけでなく、取引先企業に対してもCO2削減目標の設定や実績報告を要求するようになっています。中小企業であっても、大手企業のサプライチェーンに組み込まれている場合は、カーボンニュートラルへの取り組みが事業継続の条件となりつつあるのです。


企業のカーボンニュートラル達成に向けた主な取り組み

カーボンニュートラルを実現するためには、さまざまなアプローチを組み合わせた総合的な戦略が必要です。ここでは、多くの企業が実践している主要な取り組み方法について、それぞれの特徴やメリットを詳しくご紹介します。

再生可能エネルギーの導入

再生可能エネルギーの導入は、企業のCO2排出量を根本から削減する最も効果的な方法の一つです。従来の化石燃料による電力から、太陽光、風力、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギーに切り替えることで、電力使用に伴うCO2排出をゼロまたは大幅に削減することができます。

具体的な導入方法としては、自社施設への太陽光パネルの設置が挙げられます。工場や倉庫、オフィスビルの屋根や敷地内に太陽光発電システムを設置することで、自家消費型の再生可能エネルギーを確保できます。初期投資は必要ですが、長期的には電気料金の削減にもつながり、10年から15年程度で投資回収できる場合が多いです。

また、再生可能エネルギー由来の電力を外部から購入する方法も広く利用されています。電力会社が提供するグリーン電力メニューや、再生可能エネルギー証書(REC)、J-クレジットなどを購入することで、自社で発電設備を持たなくても再生可能エネルギーを使用しているとみなされます。

省エネルギー化

省エネルギー化は、エネルギー使用量そのものを減らすことでCO2排出量を削減する取り組みです。再生可能エネルギーへの切り替えと並んで、カーボンニュートラル実現のための基本戦略となります。省エネは初期投資が比較的少なく、かつ光熱費の削減による経済的メリットも大きいため、すべての企業が優先的に取り組むべき分野と言えます。

製造業における省エネルギー化の代表例としては、高効率な生産設備への更新があります。古い機械や設備は電力消費が大きく、効率も悪いため、最新の省エネ型設備に更新するだけで、エネルギー使用量を20%から40%削減できるケースもあります。また、建物自体の省エネルギー性能を高めることも重要です。窓ガラスを複層ガラスに交換したり、壁や屋根に断熱材を追加したりすることで、空調に必要なエネルギーを大幅に削減できます。

CO2排出量削減

CO2排出量削減は、企業活動全体を見直してあらゆる場面での排出を減らす包括的な取り組みです。製造プロセスの改善、物流の効率化、原材料の変更、製品設計の見直しなど、多岐にわたる施策が含まれます。

物流分野でのCO2削減も大きな効果があります。トラック輸送から鉄道や船舶へのモーダルシフトを進めることで、同じ貨物を運ぶ際のCO2排出量を大幅に削減できます。また、配送ルートの最適化や積載率の向上、エコドライブの徹底なども、すぐに実践できる有効な施策です。

製品設計の段階からCO2削減を考慮する「エコデザイン」も重要な取り組みです。製品のライフサイクル全体で発生するCO2排出量を評価し、環境負荷の少ない設計を選択します。

カーボンオフセット

カーボンオフセットとは、どうしても削減できないCO2排出量を、他の場所でのCO2削減・吸収活動によって埋め合わせる仕組みです。カーボンオフセットの主な方法としては、カーボンクレジットの購入があります。森林保全プロジェクトや再生可能エネルギー事業、省エネルギープロジェクトなどによって削減または吸収されたCO2量を、クレジット(証書)として売買できるようにしたものです。

日本国内では、J-クレジット制度が代表的なカーボンオフセットの仕組みです。省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの活用、適切な森林管理などによって実現されたCO2削減・吸収量が認証され、クレジットとして取引されています。


企業のカーボンニュートラル取り組み事例10選

ここからは、実際にカーボンニュートラル実現に向けて先進的な取り組みを行っている企業の具体的な事例をご紹介します。業種や規模、アプローチ方法はさまざまですが、それぞれの企業が独自の戦略を持ち、着実に成果を上げています。

事例1:再生可能エネルギー100%を目指す企業

アップル(Apple Inc.)は、2030年までにサプライチェーンを含む事業全体でカーボンニュートラルを達成するという野心的な目標を掲げています。同社は2018年に自社の全世界の施設で使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替えることに成功しました。

カリフォルニア州にある本社キャンパス「Apple Park」では、屋根全体に太陽光パネルを設置し、17メガワットの発電能力を持つシステムを運用しています。さらに注目すべきは、サプライヤーにも再生可能エネルギーの使用を求めている点です。2023年時点で、213社以上のサプライヤーが再生可能エネルギー100%を約束しています。

事例2:サプライチェーン全体でのCO2削減に取り組む企業

ユニリーバ(Unilever)は、自社だけでなくサプライチェーン全体でのCO2削減に積極的に取り組んでいます。同社は2039年までにすべての製品でネットゼロエミッションを達成するという目標を掲げています。

ユニリーバの特徴的な取り組みは、原材料調達における環境配慮です。同社の製品で使用されるパーム油は、すべて持続可能な方法で生産されたものを使用する方針を打ち出しています。製造工程においても、2020年にはすべての工場で使用する電力を100%再生可能エネルギー化することに成功しました。

事例3:革新的な技術でCO2排出量を削減する企業

トヨタ自動車は、革新的な技術開発によってCO2排出量を削減する代表的な企業です。1997年に世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」を発売して以来、ハイブリッド技術を継続的に進化させ、現在では世界中で2000万台以上のハイブリッド車を販売しています。

製造工程での技術革新も目覚ましく、愛知県の元町工場では、水素を燃料とするバーナーを塗装乾燥工程に導入し、天然ガスから水素への転換を進めています。

事例4:CO2吸収・固定技術に投資する企業

マイクロソフト(Microsoft)は、CO2を大気中から直接回収・固定する技術(DAC)への投資を積極的に行っている先進的な企業です。同社は2030年までにカーボンネガティブ(排出量よりも吸収・除去量が多い状態)になることを宣言しています。

マイクロソフトは2020年に10億ドル規模の気候イノベーション基金を設立し、カーボン除去技術、再生可能エネルギー、気候変動対策に関連する技術開発に投資しています。2021年には、史上最大規模となる130万トン以上のカーボン除去契約を発表しました。

事例5:カーボンオフセットを活用する企業

デルタ航空(Delta Air Lines)は、航空業界という短期的に完全な脱炭素化が難しい分野において、カーボンオフセットを戦略的に活用している代表的な企業です。同社は2020年3月に、世界の航空会社として初めてカーボンニュートラルを達成したと発表しました。

デルタ航空は2020年に、年間1300万トンのCO2排出量を相殺するために、3億ドルを投じてカーボンオフセットプロジェクトに投資すると発表しました。森林保全プロジェクトへの投資が中心となっています。

事例6:製品のライフサイクル全体でCO2排出量を削減する企業

イケア(IKEA)は、製品のライフサイクル全体でのCO2排出量削減に包括的に取り組んでいる企業です。同社の製品に使用される木材は、2020年にすべてリサイクル材またはFSC認証を受けた持続可能な森林から調達されたものに切り替わりました。

製品設計においても、イケアの製品はフラットパック方式で梱包されており、輸送時のスペース効率が非常に高くなっています。また、使用済み家具の買い取りサービスを開始し、修理・再販することで製品の寿命を延ばしています。

事例7:従業員の意識改革を促進する企業

パタゴニア(Patagonia)は、従業員一人ひとりの環境意識を高める取り組みに力を入れている企業です。パタゴニアには「Environmental Internship Program」という独自の制度があり、従業員は年間最大2ヶ月間、給与を受け取りながら環境保護団体でインターンとして働くことができます

同社の「Worn Wear」プログラムは、使用済みのパタゴニア製品を買い取り、修理して再販するサービスで、新品を買わずに製品の寿命を延ばすことを推奨しています。

事例8:地域と連携してカーボンニュートラルを目指す企業

セブン&アイ・ホールディングスは、地域社会と連携したカーボンニュートラルの取り組みを展開しています。同社は「グリーンストア」と呼ばれる次世代型店舗を全国各地に設置しており、太陽光発電システム、LED照明、高効率空調設備などを標準装備しています。

地域との連携では、自治体と協力した環境プロジェクトを多数実施しています。神奈川県相模原市では、市と連携して地域の食品廃棄物を回収し、バイオガス発電に活用する取り組みを行っています。

事例9:情報開示を積極的に行う企業

ネスレ(Nestlé)は、カーボンニュートラルに関する情報開示を積極的に行っている企業です。同社はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に完全に準拠した報告を行っています。

特に注目されるのは、Scope3排出量の詳細な開示です。同社の総排出量の約95%がScope3に該当するため、原材料調達、製造委託、物流、販売、製品使用、廃棄など、各段階での排出量を把握し、それぞれに対する削減計画を策定しています。

事例10:国際的なイニシアチブに参加する企業

ソニーグループは、国際的な気候変動対策イニシアチブに積極的に参加し、グローバルな連携を通じてカーボンニュートラルを推進している企業です。同社は「RE100」「SBTi」「EV100」などの主要なイニシアチブに参加しています。

ソニーの目標は、SBTiによって**「1.5℃目標に整合している」と認定**されており、科学的な裏付けのある削減計画を実行していることが第三者機関によって証明されています。


カーボンニュートラル実現に向けた政府の支援策

企業がカーボンニュートラルを実現するためには、政府による支援策を活用することも重要です。日本政府は2050年カーボンニュートラル目標の達成に向けて、さまざまな支援制度や補助金プログラムを用意しています。

経済産業省が実施している**「グリーンイノベーション基金」は、2兆円規模の大型基金で、カーボンニュートラル実現に向けた革新的な技術開発を支援します。また、「省エネルギー設備投資に係る利子補給金」や「エネルギー使用合理化等事業者支援事業」といった補助金制度も充実しており、補助率は投資額の3分の1から2分の1程度**となっています。

中小企業向けの支援策も充実しており、**「中小企業等エネルギー利用最適化推進事業」**では、省エネ診断や設備導入計画の策定から実際の設備導入まで、一貫した支援が受けられます。地方自治体レベルでも独自の支援策が用意されており、国の制度と組み合わせることで、さらに手厚い支援を受けられます。


まとめ:カーボンニュートラル実現に向けて、企業ができること

カーボンニュートラルに取り組む企業が押さえておくべきポイントをまとめます。まず重要なのは、現状把握から始めることです。自社のCO2排出量を正確に測定し、どこで、どれだけの排出が発生しているのかを把握することが、すべての施策の出発点となります。

次に、明確な目標を設定することが大切です。2030年までに何%削減、2050年にはカーボンニュートラル達成、といった具体的な数値目標を掲げることで、社内での取り組みの方向性が明確になります。実行段階では、優先順位をつけて段階的に進めることが現実的です。

また、社内の意識改革も欠かせません。経営層のコミットメントはもちろん、現場の従業員一人ひとりがカーボンニュートラルの重要性を理解し、日々の業務の中で環境配慮を実践できる企業文化を作ることが重要です。

カーボンニュートラルへの取り組みは、単なるコストではなく、企業の持続可能性を高め、新たなビジネス機会を生み出す投資です。この記事でご紹介した事例や方法を参考に、ぜひ自社に合った形でカーボンニュートラルへの取り組みを始めてみてください。

※この記事に掲載されている具体的な料金はあくまでも目安としてご参考ください。

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