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エアコンの電気代は24時間つけっぱなしだとどうなる?実験結果を大公開!

夏の暑さや冬の寒さが厳しくなる中、エアコンを24時間つけっぱなしにしたいけれど、電気代が心配という方も多いのではないでしょうか。実は、エアコンの使い方を間違えると電気代が大幅に上がってしまう一方で、正しく使えば意外と節約できることもあります。この記事では、実際にエアコンを24時間つけっぱなしにした実験結果をもとに、本当にお得なエアコンの使い方をご紹介します。つけっぱなしにするべきケースとそうでないケース、さらに今日からできる節約テクニックまで、詳しく解説していきます。


エアコンをつけっぱなしにするのは本当にお得?気になる電気代の真実

多くの人が抱く疑問の一つが、「エアコンはつけっぱなしにした方が電気代が安くなるのか」ということです。この疑問を解決するために、まずはエアコンの電力消費の仕組みと、つけっぱなし運転の実際の効果について詳しく見ていきましょう。

エアコンの電力消費には大きな特徴があります。それは、起動時に最も多くの電力を消費するということです。たとえば、設定温度が28℃の部屋で冷房を使う場合、室温を28℃まで下げるまでの間は、エアコンは最大出力で運転します。この時の消費電力は、温度を維持している時の約3倍から5倍にもなることがあります。つまり、頻繁にエアコンのオン・オフを繰り返すということは、その度に高い電力消費のピークを迎えているということになるのです。

一方で、設定温度に達した後のエアコンは、室温を維持するために必要最小限の電力で運転します。この「維持運転」の状態では、消費電力は大幅に下がります。具体的には、6畳用のエアコンの場合、起動時の消費電力が800Wほどであるのに対し、維持運転時は150W程度まで下がることが一般的です。

この電力消費の特性を理解すると、短時間の外出であればエアコンをつけっぱなしにした方が経済的である理由が見えてきます。30分や1時間程度の外出でエアコンを切ってしまうと、帰宅時に再び高い電力を消費する起動運転が必要になってしまうからです。


【結論】エアコンの電気代は「つけっぱなし」と「こまめなオンオフ」どちらが安い?

エアコンメーカー各社の実験データと一般家庭での実測結果を総合すると、外出時間が30分以内であれば「つけっぱなし」の方が電気代は安くなるという結論が得られています。ここでは、具体的な実験結果をもとに、どのような状況でつけっぱなしが有効なのか、詳しく解説していきます。

30分程度の外出なら「つけっぱなし」が経済的

大手エアコンメーカーのダイキンが実施した実験では、外気温35℃、室温を27℃に設定した条件下で、30分間の外出時における電力消費量を比較しました。その結果、エアコンを切って再稼働させた場合の消費電力は53Wh、つけっぱなしにした場合は52Whとなり、つけっぱなしの方がわずかに省エネという結果が得られました。

この実験結果が示すように、短時間の外出であれば、つけっぱなしにすることで電気代を節約できます。たとえば、コンビニに買い物に行く、近所のスーパーに食材を買いに行く、子どもの送り迎えをするといった30分程度の外出であれば、エアコンはそのままにしておくのが賢明です。

さらに、つけっぱなしにすることで得られるメリットは電気代の節約だけではありません。帰宅時に快適な室温が保たれているため、暑い外から帰ってきてすぐにリラックスできるという快適性の向上も見逃せません。特に小さなお子さんや高齢者がいるご家庭では、室温の急激な変化を避けることで、熱中症のリスクを減らすことも可能です。

なぜ?エアコンは起動時に最も電力を消費する

エアコンが起動時に多くの電力を消費する理由は、その仕組みにあります。エアコンは、室内機と室外機の間で冷媒を循環させることで、室内の熱を屋外に運んだり(冷房時)、屋外の熱を室内に運んだり(暖房時)しています。この熱の移動を効率的に行うために、エアコンには「インバーター制御」という技術が使われています。

インバーター制御では、設定温度と現在の室温の差が大きいほど、コンプレッサーを高速で回転させて、より多くの熱を移動させようとします。つまり、エアコンを起動した直後は、室温と設定温度の差が最も大きいため、コンプレッサーがフル稼働状態になるのです。

具体的な例で説明すると、外気温が35℃で室内が32℃まで上がっている状況でエアコンを起動し、設定温度を27℃にした場合を考えてみましょう。この時、エアコンは5℃の温度差を一気に解消しようとして、最大出力で運転します。一方、すでに27℃に保たれている部屋では、わずかな温度上昇に対してだけ対応すればよいため、消費電力は起動時の約5分の1程度で済むのです。

この特性は冷房だけでなく暖房でも同様です。むしろ暖房の場合は、外気温が低いほど熱を取り出すのが困難になるため、起動時の電力消費はさらに大きくなる傾向があります。そのため、冬場の短時間外出時には、つけっぱなしの効果がより顕著に現れることが多いのです。


エアコンを24時間つけっぱなしにした場合の電気代を徹底シミュレーション

実際にエアコンを24時間つけっぱなしにすると、どれくらいの電気代がかかるのでしょうか。ここでは、一般的な家庭用エアコンを使った場合の具体的な電気代を、時間別・期間別に詳しく計算していきます。計算には、現在の電力料金単価と、各メーカーの平均的な消費電力データを用いています。

1時間あたりの電気代の目安

エアコンの1時間あたりの電気代を計算するには、消費電力(W)× 使用時間(h)× 電力料金単価(円/kWh)÷ 1000という式を使います。現在の電力料金単価は、全国平均で約31円/kWh(2024年7月時点)となっています。

6畳用エアコン(消費電力平均500W)の場合、1時間あたりの電気代は500W × 1h × 31円/kWh ÷ 1000 = 15.5円となります。しかし、これは常に定格消費電力で運転している場合の計算であり、実際には室温が設定温度に近づくにつれて消費電力は大幅に下がります。

実際の運転では、起動から設定温度に達するまでの約30分間は定格消費電力の80~100%で運転し、その後は30~50%程度の消費電力で維持運転を行います。そのため、平均的な消費電力は定格の約60%程度になることが多く、6畳用エアコンの場合は1時間あたり約9~12円が現実的な電気代となります。

14畳用の大型エアコン(消費電力平均1200W)の場合は、定格運転時で1200W × 1h × 31円/kWh ÷ 1000 = 37.2円、実際の平均運転時は約22~28円程度の電気代がかかります。

1日(24時間)つけっぱなしにした場合の電気代

6畳用エアコンを24時間つけっぱなしにした場合の電気代を詳しく見てみましょう。前述の通り、平均的な消費電力を定格の60%として計算すると、1時間あたり約10円 × 24時間 = 240円が1日の電気代となります。

ただし、この金額は使用条件によって大きく変動します。たとえば、**外気温と設定温度の差が大きい真夏日(外気温35℃以上)**では、エアコンがより多くの電力を消費するため、1日の電気代は300円程度まで上がることがあります。逆に、外気温が比較的穏やかな日(28~30℃程度)では、1日200円以下に収まることも珍しくありません。

14畳用の大型エアコンの場合は、1日あたり500~700円程度の電気代がかかります。これは部屋の大きさに比例して消費電力が増えるためですが、大きな部屋ほど温度が安定しやすいという特性もあるため、単純に消費電力が倍になるわけではありません。

また、最新の省エネエアコン(APF値4.0以上)を使用している場合は、上記の金額から20~30%程度安くなることが期待できます。一方、10年以上前の古いエアコンを使用している場合は、1.5~2倍程度高くなる可能性があるため、注意が必要です。

1ヶ月(30日間)つけっぱなしにした場合の電気代

1ヶ月間エアコンをつけっぱなしにした場合の電気代を計算してみると、その金額の大きさに驚く方も多いでしょう。6畳用エアコンの場合、1日240円 × 30日 = 7,200円が基本的な月額電気代となります。

しかし、実際の使用では、深夜時間帯や外気温が比較的低い日もあるため、月平均の電気代は6,000~8,000円程度に収まることが多いです。これに対して、こまめにオン・オフを繰り返した場合の月額電気代は、起動時の高い電力消費により8,000~10,000円程度になることが実験で確認されています。

14畳用の大型エアコンでは、つけっぱなし運転で月額15,000~20,000円程度の電気代がかかります。この金額は決して安くありませんが、快適性を維持しながら最も効率的に運転した場合の費用であることを理解しておくことが重要です。

地域による電力料金の違いも考慮する必要があります。たとえば、北海道や沖縄では電力料金単価が高く、上記の金額から20~30%程度高くなる可能性があります。逆に、関西電力や中部電力のエリアでは、やや安くなることが期待できます。

【冷房・暖房・除湿】機能別の電気代比較

エアコンの電気代は、使用する機能によっても大きく異なります。一般的に、暖房 > 冷房 > 除湿の順で電気代が高くなる傾向があります。これは、それぞれの機能で必要とされる熱の移動量や、外気条件による効率の違いが影響しているためです。

冷房運転時の電気代は、前述の計算通り、6畳用で1時間あたり約9~12円程度となります。外気温が35℃を超える猛暑日でも、現代の省エネエアコンであれば1時間15円を超えることは稀です。冷房の場合、室外機は外気から熱を取り除くだけでよいため、比較的効率的な運転が可能です。

暖房運転時の電気代は、外気温によって大きく変動します。外気温が10℃程度の比較的暖かい日であれば、冷房と同程度の1時間10~15円で済みますが、外気温が0℃以下になると、1時間20~30円程度まで上がることがあります。これは、外気から熱を取り出すことが困難になるためで、特に氷点下では効率が大幅に低下します。

除湿運転は、一見すると電気代が安そうに思えますが、実際はそう単純ではありません。除湿には「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類があり、弱冷房除湿の場合は冷房よりも安く、1時間8~10円程度で済みます。しかし、再熱除湿の場合は冷房よりも高くなり、1時間15~20円程度かかることもあります。

運転モード 1時間あたりの電気代(6畳用) 特徴
冷房(夏季平均) 9~12円 最も一般的で効率的
暖房(冬季平均) 12~18円 外気温により大きく変動
暖房(氷点下) 20~30円 効率が大幅に低下
弱冷房除湿 8~10円 最も省エネ
再熱除湿 15~20円 快適だが電気代高

自宅のエアコンの電気代を計算する方法

自宅のエアコンの正確な電気代を知りたい場合は、エアコンの仕様書やリモコンに記載されている定格消費電力を確認することから始めましょう。この数値に、前述の計算式を当てはめることで、おおよその電気代を算出できます。

より正確な電気代を知りたい場合は、ワットチェッカーという測定器を使用する方法があります。この機器をエアコンのコンセントに接続することで、実際の消費電力をリアルタイムで測定できます。ワットチェッカーは家電量販店やオンラインショップで2,000~5,000円程度で購入でき、エアコン以外の家電の消費電力も測定できるため、節電対策には非常に有効です。

また、最近のスマートメーターを導入している家庭では、電力会社のWebサービスやアプリを通じて、時間別の電力使用量を確認できます。エアコンを使用した日と使用しなかった日の電力使用量を比較することで、エアコンが家庭全体の電気代に与える影響を把握することも可能です。

計算時に注意すべき点として、電力料金は時間帯によって異なる場合があることを覚えておきましょう。深夜電力プランを契約している場合は、夜間の電気代が大幅に安くなるため、夜間のつけっぱなし運転はより経済的になります。


【状況別】つけっぱなし運転がおすすめなケース・そうでないケース

エアコンのつけっぱなし運転が効果的かどうかは、使用する状況や条件によって大きく変わります。ここでは、具体的なシチュエーションを挙げながら、つけっぱなしが推奨される場合とそうでない場合を詳しく解説します。適切な判断をすることで、快適性と経済性を両立させることができます。

つけっぱなし運転が推奨される場合(日中の在宅時間が長い、外気温との差が大きいなど)

つけっぱなし運転が最も効果的なのは、在宅時間が長く、短時間の外出が多い生活パターンの場合です。たとえば、テレワークをしている方や、小さなお子さんがいるご家庭、高齢者のいるご家庭などは、つけっぱなし運転のメリットを十分に享受できます。

具体的には、外出時間が30分以内の場合は、ほぼ確実につけっぱなしの方が経済的です。コンビニへの買い物、銀行での手続き、子どもの送り迎え、近所への散歩など、日常的な短時間外出であれば、エアコンを止める必要はありません。これらの外出を1日に複数回行う場合、その都度エアコンを切ってしまうと、1日の総電気代が20~30%増加することも珍しくありません。

外気温と設定温度の差が大きい日も、つけっぱなし運転が特に効果的です。真夏日で外気温が35℃を超えている時に室内を27℃に保つ場合や、真冬日で外気温が氷点下の時に室内を20℃に保つ場合などは、一度電源を切ってしまうと再起動時の電力消費が非常に大きくなります。温度差が10℃以上ある場合は、1時間程度の外出でもつけっぱなしの方が経済的になることが多いです。

また、建物の断熱性能が低い住宅では、つけっぱなし運転のメリットがより顕著に現れます。古い木造住宅や、断熱材が不十分なアパート・マンションでは、エアコンを切ると室温が急激に変化してしまうため、再度適温に戻すのに多くのエネルギーが必要になります。このような住宅では、2~3時間程度の外出でもつけっぱなしの方が安くなる場合があります。

こまめに消した方が良い場合(長時間の外出、外気温との差が小さいなど)

一方で、つけっぱなし運転よりもこまめにオン・オフした方が経済的な場合もあります。最も分かりやすいのは、3時間以上の長時間外出をする場合です。職場への通勤、映画館での映画鑑賞、友人との食事会など、確実に3時間以上家を空ける場合は、エアコンを切って出かけた方が電気代を節約できます。

外気温と設定温度の差が小さい日も、こまめに消した方が良いケースの代表例です。たとえば、春や秋の過ごしやすい季節で、外気温が25℃前後、設定温度が27℃といった場合は、エアコンの起動時の電力消費がそれほど大きくなりません。このような条件では、1時間程度の外出でも電源を切った方が経済的になることがあります。

就寝時間が規則的で、起床時刻が決まっている場合も、タイマー機能を活用した方が効率的です。毎日23時に就寝し、6時に起床するという規則的な生活パターンであれば、タイマーで22時30分にエアコンをオフに設定し、5時30分にオンに設定することで、深夜の無駄な電力消費を避けることができます。特に春秋の中間期では、深夜から早朝にかけて外気温が下がるため、エアコンなしでも快適に過ごせることが多いです。

また、電力料金プランによっては深夜時間帯の電気代が安い場合もありますが、昼間の電気代が高く設定されている場合は、昼間の短時間外出時にこまめに電源を切ることで、トータルの電気代を抑えることができます。特に、昼間の電力料金が40円/kWh以上に設定されているプランでは、昼間のつけっぱなし運転のメリットが小さくなることがあります。


今日からできる!エアコンの電気代を賢く節約する9つの方法

エアコンの電気代を効果的に節約するためには、つけっぱなし運転の判断だけでなく、日常的な使い方や設定を見直すことが重要です。ここでは、今日からすぐに実践できる具体的な節約方法を、効果の高い順に詳しく解説していきます。これらの方法を組み合わせることで、電気代を20~40%削減することも可能です。

1. 設定温度を見直す(冷房は28℃、暖房は20℃が目安)

エアコンの設定温度は、電気代に最も大きな影響を与える要素の一つです。設定温度を1℃変更するだけで、消費電力が約10%変化するとされており、年間を通じて考えると大きな節約効果が期待できます。

冷房使用時の推奨設定温度は**28℃**です。「28℃では暑すぎる」と感じる方も多いかもしれませんが、後述する扇風機やサーキュレーターとの併用により、体感温度を2~3℃下げることができます。実際に28℃設定で快適に過ごすためには、風量を「自動」に設定し、風向きを「スイング」にすることがポイントです。これにより、部屋全体に均等に冷気が行き渡り、温度ムラがなくなります。

暖房使用時の推奨設定温度は**20℃**です。冬場は厚着をすることで体感温度を上げることができるため、設定温度を下げても快適性を保つことが可能です。特に、室内用のフリースやルームシューズを活用することで、20℃でも十分暖かく感じることができます。

設定温度の調整は、段階的に行うことをおすすめします。たとえば、普段26℃で冷房を使っている場合は、いきなり28℃にするのではなく、まず27℃で数日過ごし、慣れてから28℃に変更すると、違和感なく調整できます。また、湿度が高い日は除湿機能を併用することで、設定温度が高くても快適に過ごすことができます。

2. 「自動運転」モードを最大限に活用する

多くの方が見落としがちなのが、エアコンの「自動運転」モードの活用です。自動運転モードは、室温と設定温度の差を検知して、最適な運転強度を自動的に調整する機能です。この機能を使うことで、無駄な電力消費を避けながら、快適な室温を効率的に維持することができます。

自動運転モードの仕組みを詳しく説明すると、室温が設定温度から大きく離れている時は強運転で急速に温度を調整し、設定温度に近づくにつれて徐々に運転強度を下げていきます。そして、設定温度に達すると微弱運転や運転停止を繰り返して、室温を一定に保ちます。

一方、手動で「強」や「弱」に設定してしまうと、室温が設定温度に達しても同じ強度で運転を続けてしまい、過度な冷却や暖房により電力を無駄に消費してしまいます。特に「強」で固定してしまうと、電気代が30~50%増加することも珍しくありません。

自動運転モードを使う際の注意点として、風量も「自動」に設定することが重要です。温度だけでなく風量も自動調整されることで、より効率的な運転が可能になります。また、最新のエアコンには「AI自動運転」や「おまかせ運転」といった、より高度な自動制御機能が搭載されている場合があります。これらの機能は、過去の使用パターンや外気温を学習して、より精密な制御を行うため、積極的に活用することをおすすめします。

3. 扇風機やサーキュレーターを併用して体感温度を下げる

エアコンと扇風機やサーキュレーターを併用することで、設定温度を上げても同等の快適性を得られるため、大幅な節電効果が期待できます。扇風機の消費電力は20~50W程度と、エアコンの10分の1以下であるため、併用による電気代の増加はわずかです。

扇風機を併用する最大のメリットは、体感温度を2~4℃下げる効果があることです。これは、風が皮膚の表面から熱を奪う「気化熱冷却」と、風による体表面の空気の流れが温度感覚に与える「風冷効果」によるものです。たとえば、室温28℃でも適度な風があれば、体感的には24~26℃程度の涼しさを感じることができます。

効果的な扇風機の配置方法としては、エアコンの冷気の流れを部屋全体に循環させることが重要です。具体的には、エアコンから離れた場所に扇風機を設置し、エアコンの風向きと同じ方向に首振り運転させることで、部屋全体の空気を効率的に循環させることができます。

サーキュレーターを使う場合は、天井に向けて送風することで、部屋の上下の温度差を解消できます。冷房時は冷たい空気が下に溜まりがちですが、サーキュレーターで空気を循環させることで、足元も涼しく保つことができます。逆に暖房時は、天井付近に溜まった暖かい空気を下に送ることで、床付近の温度を上げることができます。

併用時の電気代を計算すると、6畳用エアコンを26℃設定で使用した場合(1時間12円)と、28℃設定+扇風機併用(1時間9円+1円)を比較すると、1時間あたり2円、1日あたり48円の節約になります。1ヶ月では約1,440円の差となり、年間では17,000円以上の節約効果が期待できます。

4. フィルターは2週間に1回掃除する

エアコンのフィルター掃除は、最も手軽で効果の高い節電対策の一つです。フィルターが目詰まりすると、エアコンの効率が大幅に低下し、同じ冷房・暖房効果を得るために多くの電力が必要になってしまいます。実際に、フィルターを1年間掃除しなかった場合、電気代が25~30%増加することが実験で確認されています。

フィルターの汚れが電気代に影響する理由は、空気の流れが悪くなることにあります。フィルターにホコリが蓄積すると、室内機への空気の取り込み量が減少し、熱交換器での効率的な熱交換ができなくなります。その結果、設定温度に達するまでにより長い時間がかかり、消費電力が増加してしまうのです。

効果的なフィルター掃除の手順は以下の通りです。まず、エアコンの電源を切り、フィルターを取り外します。フィルターに付着したホコリを掃除機で吸い取った後、中性洗剤を薄めた水で優しく洗浄します。しっかりと水気を切って陰干しで完全に乾燥させてから、元の位置に戻します。

掃除の頻度は、使用環境によって調整が必要です。ペットを飼っている家庭や、交通量の多い道路沿いの住宅では週1回、一般的な住宅環境では2週間に1回、使用頻度が低い場合でも月1回は掃除することをおすすめします。掃除のタイミングを忘れないよう、スマートフォンのリマインダー機能を活用すると効果的です。

5. 室外機の周りを整理し、日よけを設置する

室外機の設置環境は、エアコンの効率に大きな影響を与えます。室外機の周囲に十分な空間がないと、熱交換効率が低下し、消費電力が増加してしまいます。また、直射日光が当たる場所に設置されている場合は、室外機自体の温度が上がり、さらに効率が悪化します。

室外機の周囲には、前面に25cm以上、左右に5cm以上、背面に5cm以上の空間を確保することが推奨されています。これらのスペースが不足すると、排出された熱い空気が再び吸い込まれる「ショートサーキット現象」が発生し、電気代が15~20%増加することがあります。

室外機周辺でよくある問題として、物置や自転車、植木鉢などが置かれているケースがあります。これらの障害物は、空気の流れを妨げるだけでなく、メンテナンス時の作業性も悪化させるため、できるだけ移動させることをおすすめします。

直射日光対策としては、室外機専用の日よけパネルを設置することが効果的です。市販の日よけパネルは3,000~8,000円程度で購入でき、設置も簡単です。日よけを設置することで、夏場の電気代を5~10%削減できることが実験で確認されています。

ただし、日よけを設置する際は、空気の流れを妨げないよう注意が必要です。室外機の上部や側面を覆いすぎると、逆に効率が悪化してしまうため、直射日光を遮りながらも十分な通気性を確保できるデザインを選ぶことが重要です。

6. 遮光カーテンやブラインドで窓からの熱を遮断する

窓からの熱の侵入を防ぐことは、エアコンの負荷を大幅に軽減する効果的な方法です。**夏場の窓からの熱侵入は、室内の熱負荷の約30%**を占めるとされており、これを遮断することで、エアコンの設定温度を1~2℃上げても同等の快適性を保つことができます。

遮光カーテンの選び方として、遮光率99%以上の1級遮光カーテンを選ぶことをおすすめします。これらのカーテンは、直射日光をほぼ完全に遮断でき、室温の上昇を効果的に抑制します。また、断熱性能の高いカーテンを選ぶことで、冬場の暖房効率も向上させることができます。

ブラインドを使用する場合は、外付けブラインドが最も効果的です。窓の外側で日光を遮ることで、窓ガラス自体の温度上昇を防ぐことができます。内付けブラインドでも一定の効果はありますが、遮熱効果は外付けの約60%程度に留まります。

カーテンやブラインドの効果的な使用方法として、**日中の最も暑い時間帯(10時~16時)**は完全に閉め、朝夕の比較的涼しい時間帯は開けて自然の風を取り入れるという使い分けが効果的です。これにより、電気代を10~15%削減できることが期待できます。

7. タイマー機能を活用して無駄な運転を防ぐ

エアコンのタイマー機能を適切に活用することで、無駄な電力消費を防ぎながら快適性を維持することができます。特に、就寝時と起床時のタイマー設定は、大きな節電効果をもたらします。

就寝時のタイマー設定では、入眠から2~3時間後にエアコンが停止するよう設定することをおすすめします。人間の体温は睡眠中に自然に下がるため、入眠後は室温がやや高くても快適に眠ることができます。ただし、真夏日や熱帯夜の場合は、6時間タイマーに設定し、深夜から早朝にかけても適度な冷房を続けることで、熱中症のリスクを避けることができます。

起床時のタイマー設定では、起床30分前にエアコンが起動するよう設定することで、目覚めた時に快適な室温になっています。この方法により、朝の不快感を避けながら、夜間の無駄な電力消費を削減できます。

外出時のタイマー活用法として、帰宅30分前に自動でエアコンが起動するよう設定することも効果的です。スマートフォンアプリと連携できるエアコンであれば、GPSを活用して帰宅に合わせて自動的に運転を開始することも可能です。これにより、帰宅時の快適性を保ちながら、外出中の無駄な運転を避けることができます。

8. 夜間や就寝時は「つけっぱなし」か「タイマー」か

就寝時のエアコン使用については、外気温と個人の快適性を考慮して判断することが重要です。一般的に、外気温が28℃以下の場合は3時間タイマー、28℃以上の場合はつけっぱなしが推奨されます。

**熱帯夜(最低気温25℃以上)の場合は、つけっぱなし運転が安全で経済的です。深夜から早朝にかけて室温が下がりにくいため、タイマーで停止してしまうと室温が急上昇し、睡眠の質の低下や熱中症のリスクが高まります。この場合、設定温度を27~28℃**に設定し、除湿モードを併用することで、快適性を保ちながら電気代を抑えることができます。

一方、**外気温が比較的低い夜(22~25℃程度)**では、3~6時間タイマーを活用することで節電効果が期待できます。この温度帯では、エアコンを停止しても深夜から早朝にかけて室温が適度に下がるため、朝まで快適に過ごすことができます。

就寝時の設定で注意すべき点として、風向きを直接体に当てないよう調整することが重要です。就寝中に冷風が直接当たると、体調不良の原因になるだけでなく、体感温度が必要以上に下がるため、エアコンが過度に運転してしまう可能性があります。

9. 長期間使わないときはコンセントを抜く

エアコンは使用していない時でも、待機電力を消費しています。この待機電力は、リモコンからの信号を受信するためや、内部の時計機能を維持するために必要ですが、長期間使用しない場合は無駄な電力消費となってしまいます。

エアコンの待機電力は、機種によって異なりますが、年間を通じて約500~1,000円程度の電気代に相当します。春や秋の使用しない期間が長い場合は、コンセントを抜くことで年間の電気代を削減できます。

ただし、コンセントを抜く際は、内部乾燥運転を行ってから抜くことが重要です。内部乾燥運転は、エアコン内部の湿気を除去して、カビの発生を防ぐ機能です。この運転を行わずに長期間停止すると、カビや雑菌が繁殖し、次回使用時に健康に悪影響を与える可能性があります。

コンセントを抜く前に行うべき手順として、フィルターの清掃、内部乾燥運転(2~3時間)、室内機・室外機周辺の清掃を行うことをおすすめします。また、再度使用を開始する前には、試運転を行い、正常に動作することを確認することも大切です。


それでも電気代が高いなら?根本的な見直しも検討しよう

これまで紹介した節約方法を実践しても電気代が思うように下がらない場合は、エアコン本体や電力契約の見直しを検討する時期かもしれません。特に、10年以上前のエアコンを使用している場合や、現在の電力プランが生活スタイルに合っていない場合は、根本的な改善により大幅な節約が可能です。

10年以上前のエアコンは買い替えを検討

エアコンの省エネ性能は、この10年間で飛躍的に向上しています。2015年以前のエアコンと最新のエアコンを比較すると、消費電力が30~50%削減されているケースも珍しくありません。これは、インバーター制御の精度向上、熱交換器の改良、冷媒の効率化などの技術革新によるものです。

エアコンの省エネ性能を示す指標として、**APF(通年エネルギー消費効率)**という数値があります。この数値が高いほど省エネ性能が優れており、APF6.0以上の機種を選ぶことで、大幅な電気代削減が期待できます。現在使用しているエアコンのAPF値が3.0以下の場合は、買い替えによる節電効果が顕著に現れます。

買い替えの投資回収期間を計算してみると、10年前のエアコン(APF3.0)から最新のエアコン(APF6.0)に買い替えた場合、年間の電気代削減額は約3~5万円になることがあります。エアコンの購入価格を15~20万円とすると、4~6年で投資を回収でき、その後は純粋な節約効果を得ることができます。

買い替え時期の判断基準として、修理費用が購入価格の半額を超える場合や、異常音や異臭が発生している場合は、迷わず買い替えを検討することをおすすめします。また、冷房・暖房の効きが悪くなってきた場合も、内部の劣化が進んでいる可能性が高く、電気代が無駄に高くなっている可能性があります。

電力会社の料金プランを見直す

電力自由化により、現在は多くの電力会社から様々な料金プランが提供されています。エアコンの使用パターンに最適なプランを選ぶことで、同じ電力使用量でも電気代を大幅に削減できる可能性があります。

昼間の在宅時間が長く、エアコンの使用時間も長い家庭では、昼間の電力料金が安く設定されているプランが有利です。一方、日中は外出していて、夜間や早朝にエアコンを使用することが多い家庭では、夜間電力料金が安いプランを選ぶことで節約効果が期待できます。

具体例として、夜間電力プラン(夜11時~朝7時の電力料金が約半額)を契約している場合、夜間のエアコン使用による電気代を大幅に削減できます。6畳用エアコンを夜間8時間使用した場合、通常プランでは約80円、夜間プランでは約40円となり、1ヶ月で約1,200円の差が生まれます。

電力プランの比較を行う際は、基本料金と従量料金の両方を考慮することが重要です。基本料金が安くても従量料金が高い場合や、その逆のケースもあるため、年間の総電力使用量をもとに計算することをおすすめします。多くの電力会社では、Web上で料金シミュレーションを提供しているため、現在の電気使用量をもとに最適なプランを見つけることができます。


まとめ:エアコンは賢くつけっぱなしにして、夏も冬も快適に節約しよう

エアコンの「つけっぱなし」について詳しく検証した結果、適切な判断と使い方をすることで、快適性と経済性を両立できることが分かりました。重要なのは、外出時間や外気温、住宅の断熱性能などを総合的に考慮して、つけっぱなしにするかどうかを判断することです。

30分以内の短時間外出であれば、ほぼ確実につけっぱなしの方が経済的です。コンビニへの買い物や子どもの送り迎えなどの日常的な外出では、エアコンを切る必要はありません。一方、3時間以上の長時間外出では、電源を切った方が節約につながります。

今回紹介した9つの節約方法を組み合わせることで、月々の電気代を20~40%削減することも可能です。特に効果が高いのは、設定温度の見直し、自動運転モードの活用、扇風機との併用です。これらは今日からすぐに実践でき、確実な節約効果が期待できます。

また、10年以上前のエアコンを使用している場合は、買い替えによる大幅な節約効果が期待できます。最新のエアコンは省エネ性能が大幅に向上しており、投資回収期間を考慮しても、長期的には大きなメリットがあります。

エアコンは現代の生活に欠かせない家電ですが、正しい知識と使い方により、快適さを犠牲にすることなく電気代を抑えることができます。この記事で紹介した方法を参考に、あなたの生活スタイルに最適なエアコンの使い方を見つけて、賢く節約しながら快適な室内環境を実現してください。

※この記事に掲載されている具体的な料金はあくまでも目安としてご参考ください。

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