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未来ではCO2が役に立つ?!「カーボンリサイクル」でCO2を資源に

地球温暖化の原因になっているといわれるCO2の排出量を減らすことは、今やグローバルな課題になっています。エネルギー分野においては、CO2排出量の少ないエネルギー資源への転換をはかること、省エネルギーに努めることなどが大切です。加えて、CO2を分離・回収して地中に貯留する「CCS」、分離・回収したCO2を利用する「CCU」も、大気中のCO2を削減するための重要な手法として研究が進められています。このようなCO2の利用をさらに促進するべく、研究開発をイノベーションにより進めようという取り組みが、「カーボンリサイクル」です。CO2はどのように利用できるのか、その可能性と必要な技術について見てみましょう。
 

CO2を素材や燃料として再利用する「カーボンリサイクル」
 
CCUでこれまで一般的だったのは、「EOR(原油増進回収技術)」と呼ばれる手法への利用です。たとえば、油田にある原油をできるだけ回収するためには、水などを、圧力をかけて注入し(圧入)、岩石の小さな穴などに溜まっている原油を押し流します。この時、水の代わりに炭酸ガスを圧入するのが、CO2を使ったEORです。

もうひとつ、現在一般的なCO2の利用先としては、ドライアイスや溶接などに直接利用する方法があります。しかし、こうした方法だけでは、利用されるCO2の量は限られてしまいます。

そこで、CO2を“資源”ととらえ、素材や燃料に再利用することで大気中へのCO2排出を抑制する、そのために世界の産学官連携のもとで研究開発をおこないイノベーションを進めていこうとする取り組みが、経済産業省が提唱する「カーボンリサイクル」です。CO2の利用先としては、①化学品、②燃料、③鉱物、④その他が想定されています。
 


 

①化学品では、具体的には、ウレタンや、プラスチックの一種でCDなどにも使われるポリカーボネートといった「含酸素化合物(酸素原子を含む化合物)」が考えられています。また、バイオマス(サイト内リンクを開く「知っておきたいエネルギーの基礎用語~地域のさまざまなモノが資源になる『バイオマス・エネルギー』」参照)由来の化学品や、汎用的な物質であるオレフィン(ポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂の総称)も利用先となりえます。

②燃料では、光合成をおこなう小さな生き物「微細藻類」を使ったバイオ燃料や、バイオマス由来のバイオ燃料がCO2の利用先として考えられています。

③鉱物では、「コンクリート製品」や「コンクリート構造物」が考えられています。具体的には、コンクリート製品などを製造する際に、その内部にCO2を吸収させるものなどです。

最後に、④その他として、バイオマス燃料とCCSを組み合わせる「BECCS」、海の海藻や海草がCO2を取り入れることで海域にCO2が貯留する「ブルーカーボン」などが考えられています。これらは総称して「ネガティブ・エミッション」と呼ばれます。
 

2030年頃、CO2を再利用した製品が普及するかも?
 

これらの技術は、それぞれの分野では研究開発が進められ、一部では製品になっているものの、目標や進度はバラバラでした。

たとえば、CO2を使ったポリカーボネートはすでに製品になっていますが、これは製造過程で有害物質が生じる石油由来製法の代替としてCO2が使われているもので、CO2削減を目的としたものではありません。そのため、現状では、製造過程で排出されるCO2の方が、利用されるCO2より多くなっています。今後CO2を排出しないエネルギーを使うことなどができれば、CO2削減にも役立てられるかもしれません。

また、コンクリート製品でもCO2を使ったものがすでに開発されていますが、ブロック形式のものしかないため建物の基礎には使えない、あるいは通常のコンクリートよりも酸性に近い性質になり、鉄筋が錆びやすくなることから、そのままでは鉄筋コンクリートに使えないなどの弱点があり、現在では道路ブロックなどにしか使われていません。技術開発を進めることで弱点が解決できれば、より多くの消費につながるかもしれません。

このようなバラバラなものをまとめ、技術の現状を把握し、理解・認識を共有することで、研究開発が効果的かつスピーディーに進むようにするため、経済産業省は、各分野で研究開発が必要な技術的な課題を整理した「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を、2019年6月に公表しました。
 


 

ロードマップでは、2030年頃までを「フェーズ1」とし、カーボンリサイクルに役立つあらゆる技術について開発を進めるとしています。特に2030年頃から普及することが期待されている技術については重点的に取り組むことが掲げられています。

2030年以降、2050年頃までは「フェーズ2」として、CO2利用の拡大を狙います。ポリカーボネートや液体のバイオ燃料は普及しはじめ、コンクリート製品も道路ブロックのような小さな製品は普及しはじめると予想しています。しかし、これらだけではCO2の利用量が限定的であるため、特に需要の高い汎用品をつくるような技術について、その後も重点的に開発に取り組んでいきます。一方、CO2を分離・回収する技術も、2030年頃までには低コスト化をはかります。

2050年以降のフェーズ3では、さらなる低コスト化に取り組みます。CO2を分離・回収する技術は、現状の4分の1以下のコストを目指します。ポリカーボネートなどの既存の製品は消費が拡大し、一方でオレフィンやガス燃料、汎用品のコンクリート製品はこの頃から普及しはじめることを狙います。
 

CO2をもっと使うためには、どんな技術が必要?
 

では、これらの領域で実際にCO2の利用を進めていくためには、どのような技術開発が必要なのでしょうか?ロードマップでは、どの技術が現在どういった状況にあり、どういった課題を抱えているか、また現在の価格についても整理しています。2030年に向けて、まずは低コスト化が必要であることがわかります。
 

カーボンリサイクルのために必要な技術の現状と課題
 
カーボンリサイクルのために必要な技術の現状と課題

※1価格は事務局調べ ※2基幹物質、化学品(一部の含酸素化合物の除く)、燃料の多くの技術は普及するために安価で、大量のCO2フリー水素が必要。バイオマス由来の場合にも水素化処理等に用いる水素が必要。

 

多くの技術において、安価なCO2フリー水素は必須です。現在は主に天然ガスから水素を生成していますが、生成にはエネルギーが必要となってしまいます。また、CO2を分解したり結合したりするためにも、エネルギーは必要となります。しかし、エネルギーをつくるためにCO2を排出してしまっては意味がありません。そのため、カーボンリサイクルでは、CO2排出量が実質ゼロの電気「ゼロエミッション電源」を活用してCO2フリーの水素をつくることが重要となります。

「水素基本戦略」(サイト内リンクを開く「カーボンフリーな水素社会の構築を目指す『水素基本戦略』」参照)では、2050年の水素のプラント引渡し価格を1Nm3(空気量をあらわす単位)あたり20円としており、カーボンリサイクル技術ロードマップでも、その価格をターゲットにしています。ただし、そうした価格になるまでに必要な技術として、水素を使わない合成技術や、水素が高コストであってもそのコストを吸収できる高付加価値な製品の開発なども求められます。

カーボンリサイクルは、たとえ少しの量であっても、既存の製品をカーボンリサイクルの技術を用いた製品に置き換えたぶんだけ、CO2を利用し削減に繋げることができます。費用対効果をふまえつつ、ひとつでも多くの分野で技術を確立し、普及を目指していくことが求められます。
 


出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/carbon_recycling.html

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8月の電力スイッチング件数は前月比3.1%増

電力広域的運営推進機関が発表しました8月31日24時現在の全国スイッチング支援システム利用状況(2016年3月1日運用開始以来の累計)におけますスイッチング開始申請件数は1,319万件、前月末比で39.6万件(同3.1%)の増加となりました。

電力小売全面自由が始まりました2016年3月末時点での契約口数(従量電灯と低圧電力の合計)と比較しました各社の切替率につきましては、東京電力エリアの28.6%がトップで、関西電力エリアの26.8%、北海道電力エリアの20.8%、中部電力エリアの17.2%が続いており、全エリア合計での切替率は21.1%でした。

8月末における各社のスイッチング件数を同月の全エリア合計と比較すると、東京電力の49.8%がトップを占め、次いで関西電力の20.4%、中部電力の9.9%、九州電力の6.6%となっている。8月31日現在の、エリア別スイッチング状況は以下のとおりです。
 

<スイッチング支援システム利用状況>(8月31日24時現在の累計値)単位:千件


スイッチング開始申請 再点他申請件数
件数 全国比(%) 切替率(%)
北海道電力エリア 575.0 4.4 20.8 219.2
東北電力エリア 583.9 4.4 10.7 222.6
東京電力エリア 6,568.9 49.8 28.6 3,531.0
中部電力エリア 1,308.7 9.9 17.2 437.1
北陸電力エリア 81.2 0.6 6.6 47.1
関西電力エリア 2,693.8 20.4 26.8 1,082.8
中国電力エリア 281.7 2.1 8.1 126.5
四国電力エリア 209.7 1.6 10.8 88.8
九州電力エリア 874.9 6.6 14.1 460.6
沖縄電力エリア 15.2 0.1 2.0 0.9
合計 13,193.0 100.0 21.1 6,216.6

※注1:「スイッチング」とは、スイッチング開始申請の件数を指します。
※注2:「再点他」とは、再点(内線設備工事を伴わない接続供給の開始)、廃止・撤去、
    アンペア変更、需要者情報変更の合計値を指します。
※注3: スイッチングのうち、切替率は経産省/エネ庁の電力調査月報における2016年3月の
    契約口数(従量電灯と低圧電力の計)と比較したものとなっています。

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2019—日本が抱えているエネルギー問題(後編)

世界で進む脱炭素化の動き
 

日本は、エネルギー自給率の低さや化石燃料への依存など、エネルギーに関する多くの問題を抱えています。課題の解決に向けて、どのようなことをすればよいのでしょうか?「パリ協定」の中期目標でもある2030年に向けた、各エネルギー分野の取り組みをご紹介します。

今、世界のエネルギー情勢は大きな転換期にあります。それを象徴するのが「脱炭素化」の流れです。脱炭素化とは「温室効果ガス(GHG)の人為的な排出量と森林などの吸収源による除去量のバランスを取るために、温室効果ガス排出量を低減していく」ことです。つまり、人が経済活動などを通じて出す温室効果ガスの量と、光合成のためCO2を吸収する植物などの働きで除去される温室効果ガスの量が同じくらいになるようにしていくということです。そこに大きく影響するのが、石油や石炭など「化石燃料」の使用量です。

これまで日本は、いくつかの大きなエネルギーの転換期を迎えてきました。石炭から石油への「脱石炭」。2度のオイルショックを経ての「脱石油」。さらに世界各国が経済成長したことで温室効果ガスの排出量が増え、地球温暖化の原因となった結果、これを減らそうとする「脱炭素化」の動きが加速していくことになりました。地球温暖化に対する国際的な枠組み「パリ協定」の目標を達成し、将来の電源(電気をつくる方法)構成のあるべき姿を示した2030年の「エネルギーミックス」を実現するためには、今後さらに化石燃料の使用を減らしていく必要があります。
 

エネルギー選択の流れ
 
エネルギー選択の流れ

 
しかし、化石燃料に大きく依存する日本のエネルギー供給構造を変え、温室効果ガスの排出を今まで以上に削減することは簡単でないと考えられています。2018年に発表された「第5次エネルギー基本計画」では、2030年はもちろん、その先の2050年を見据えたエネルギーのあり方が示されており、「2050年までに温室効果ガスを80%削減する」という高い目標が掲げられています。

その実現のためには、あらゆる分野でイノベーションが必要とされます。またエネルギー源としても、再生可能エネルギー(再エネ)、原子力、水素、蓄電池など、あらゆる選択肢を検討していくことが重要となります。
 

脱炭素化に向けたイノベーション
 
脱炭素化に向けたイノベーション

(出典)資源エネルギー庁作成
※()内は2015年の排出量 ※CCUS:二酸化炭素回収・有効利用・貯留

 

省エネの取り組み
 
エネルギー消費効率の改善(省エネ)の取り組みは、温室効果ガスの排出を抑制することにも役立ちます。また、資源の少ない日本においては、限りある資源を有効活用するため、特に重要な取り組みとなります。

日本は積極的に省エネを進めてきた結果、世界的に見ても高い水準のエネルギー消費効率を実現してきました。しかし、1990年から2010年にかけては消費効率の改善が停滞していました。今後はさらに省エネの取り組みを徹底していくことが求められています。

 
エネルギー消費効率の改善
 
エネルギー消費効率の改善

※1970年、1990年、2012年のエネルギー消費効率を100とする
※ 当資料で扱うパーセンテージ表示については、四捨五入の関係上、合計が100%にならない場合があります。
※エネルギー消費効率=最終エネルギー消費/実質GDP

 

エネルギーミックスにおける最終エネルギー需要
 
エネルギーミックスにおける最終エネルギー需要

 

さらなる省エネを進めるためには、産業、業務、家庭、運輸の各部門での努力が必要となります。また、企業単位での取り組みをこえて、複数の企業や異なる部門が相互に連携して省エネを進めることによって、消費効率の向上を目指すことが大切です。

 
省エネ取り組み進捗
 
省エネ取り組み進捗
 

複数企業が連携する新たな省エネ取り組みのケース
 
複数企業が連携する新たな省エネ取り組みのケース

 

再エネの導入拡大
 

再エネは発電時に温室効果ガスを排出せず、エネルギーの自給率にも貢献するエネルギー源です。世界的にも、「脱炭素化」の流れを受けて、再エネを積極的に導入しようという動きが活発化しています。

日本では、2012年に、再エネでつくった電気をあらかじめ決めた固定価格で一定期間買い取る「固定価格買取制度(FIT制度)」が導入されてから、再エネの導入量が制度開始前と比べて約3.2倍となり、急速に拡大してきました。しかし、日本の発電電力量に占める再エネ比率は、2017年時点で16%(水力を除くと8.1%)となっており、主要国と比べると低いのが現状です。

 

再生可能エネルギーなどによる設備容量の推移
 
再生可能エネルギーなどによる設備容量の推移

(出典)JPEA出荷統計、NEDOの風力発電設備実績統計、包蔵水力調査、地熱発電の現状と動向、RPS制度・固定価格買取制度認定実績などにより資源エネルギー庁作成。

 

発電電力量に占める再生可能エネルギー比率の比較
 
発電電力量に占める再生可能エネルギー比率の比較

(出典)資源エネルギー庁調べ

 

再エネを長期安定的な主力の電源にしていくためには、主に4つの問題を解決していく必要があります。それぞれの問題について、簡単に見てみましょう。
 

①再エネコストの高さの問題

FIT制度により再エネ電気を買い取るために必要となった費用の一部は、電気料金を通じて国民が広く負担しています。国民負担を抑えつつ、再エネを最大限に導入していくには、ほかの電源と比較して競争力のある水準まで発電コストを下げる必要があります。

そこで、一部に入札制度を取り入れて発電事業者に競争をうながしたり、コスト効率のよい発電事業者を基準に買取価格を設定する「トップランナー方式」を導入したりするなどの取り組みを進めています。
 

②安全性などの問題

再エネを主力電源化していくには、長期的に安定した電源にすることも必要です。再エネの導入が進む一方で、地域とのトラブルも増加し、また事業終了後の準備が不十分であるなどの問題が指摘されています。

そのため、安全の確保や地域との共生をはかったり、太陽光発電設備を適切に廃棄するための対策などに取り組んだりしています。
 

③再エネを電力系統へつなぐ際の問題

日本の電力系統(電線など、発電・送電のための一連のシステム)は、再エネ発電に適していると考えられる場所(たとえば、安定的に強い風が吹く場所など)に必ずしも整備されているとは限りません。そのため、再エネの導入量が増加するにともなって、再エネの発電所を電線につなぐことができない「系統制約」の問題が生じています。

この問題に対応するため、まずは、すでに存在している系統設備を最大限に活用するとともに、系統の空き容量を柔軟に運用するルール(「日本版コネクト&マネージ」)の検討・導入などを進めています。
 

④発電量が不安定であるという問題

太陽光や風力など一部の再エネは、発電量が季節や天候に左右され、コントロールが困難です。条件に恵まれれば、電力需要以上に発電する場合もあり、そのままにしておくと需要と供給のバランスがくずれ、大規模な停電などが発生するおそれがあります。これをカバーするため、需要に対して発電量が不足する場合は火力発電などで不足分を補い、逆に余る場合には再エネの発電量を抑える(出力制御)などの調整をはかっています。

そのため、電力システム全体の改革をおこなうことで、電気が余った地域から不足している地域へと広域的に調達をはかるなど、より柔軟で効率的な調整力の確保を進めていく方針です。
 

これらの問題を解決し、再エネの主力電源化をはかるため、経済産業省では審議会を設置して検討を進めています。たとえば、2019年8月5日におこなわれた審議会では、「発電コストが下がり競争力をつけた再エネは、電力市場を活かした新しい制度を整備する」「地域で活用される電源には、需給一体として活用されることを前提に、当面FIT制度の基本的な枠組みを維持する」「太陽光発電設備の廃棄費用を外部で積み立てる制度を導入する」「次世代電力ネットワークへの転換」などの方向性が示されました。これらの取り組みの詳細や進展については、今後もスペシャルコンテンツの中でご紹介していきます。
 

原子力発電の必要性
 
原子力発電は、安定的に電力が供給でき、電力コストが低く、温室効果ガス排出も少ないエネルギー源です。世界的にも、原子力発電は米国、フランスなどで多く使われているほか、近年では中国や韓国、アラブ首長国連邦でも建設が進められています。
 


 

また、「国際エネルギー機関(IEA)」の見通しによれば、今後も世界全体での原子力発電量は伸びていくと予想されています。国連の掲げている「持続可能な開発目標(SDGs)」やパリ協定で定められた目標を達成するために必要なエネルギーの取り組みを想定した「持続可能な開発シナリオ」においても、今後も世界の原子力発電量は増えるだろうという見通しが示されています。
 

世界の原子力発電量の見通し(単位:TWh)
 
世界の原子力発電量の見通し(単位:TWh)

(出典)International Energy Agency「World Energy Outlook 2018」より作成

 

資源にとぼしい日本では、原子力発電は欠かすことのできない電源のひとつです。現在停止中の原子力発電を再稼働するにあたっては、新規制基準に適合させるなど、安全性を最優先に考えて進めていきます。また、将来的には、可能なかぎり原子力発電への依存度を低減する方針です。

なお、2019年8月5日現在の日本の原子力発電所の稼働状況は、次のようになっています。
 

日本の原子力発電所稼働状況
 
日本の原子力発電所稼働状況

 

期待される水素エネルギー
 

化石燃料に変わる未来のエネルギーとして期待されているのが、水素エネルギーです。水素は、水をはじめとしたさまざまな資源からつくることができ、利用時にCO2を排出しないクリーンなエネルギーです。水素の製造に再エネの余剰電力を有効活用すれば、製造から使用までトータルでCO2を排出しない「カーボンフリー」なエネルギーにすることも可能になります。すでにさまざまな実証実験がおこなわれ、将来のエネルギーの中心的役割をになうことが期待されています。
 

クリーンエネルギーを利用した水素社会-Power to Gas
 
クリーンエネルギーを利用した水素社会-Power to Gas

 

ますます多様になっていくエネルギー。それにつれてエネルギー問題もさらに複雑になってきています。さまざまなエネルギーの最新の状況を知ることで、日本のエネルギーのこれからを深く考えてみましょう。
 


出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyissue2019_2.html

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7月のスイッチング率が全エリア合計で初めての20%台

電力広域的運営推進機関が発表しました7月31日24時現在の全国スイッチング支援システム利用状況(2016年3月1日運用開始以来の累計)におけますスイッチング開始申請件数は1,280万件、前月末比で41.3万件(同3.3%)の増加となりました。

電力小売全面自由が始まりました2016年3月末時点での契約口数(従量電灯と低圧電力の合計)と比較しました各社の切替率につきましては、東京電力エリアの27.6%がトップで、関西電力エリアの26.1%、北海道電力エリアの20.3%、中部電力エリアの16.8%が続いており、全エリア合計での切替率は20.5%と、初めて20%台に乗りました。

7月末における各社のスイッチング件数を同月の全エリア合計と比較すると、東京電力の49.5%がトップを占め、次いで関西電力の20.5%、中部電力の10.0%、九州電力の6.7%となっている。7月31日現在の、エリア別スイッチング状況は以下のとおりです。
 

<スイッチング支援システム利用状況>(7月31日24時現在の累計値)単位:千件


スイッチング開始申請 再点他申請件数
件数 全国比(%) 切替率(%)
北海道電力エリア 559.7 4.4 20.3 210.5
東北電力エリア 566.2 4.4 10.4 213.3
東京電力エリア 6,340.7 49.5 27.6 3,386.5
中部電力エリア 1,276.5 10.0 16.8 418.8
北陸電力エリア 79.5 0.6 6.4 45.3
関西電力エリア 2,629.3 20.5 26.1 1035.0
中国電力エリア 273.2 2.1 7.8 121.8
四国電力エリア 203.6 1.6 10.5 85.4
九州電力エリア 855.4 6.7 13.8 440.9
沖縄電力エリア 12.9 0.1 1.7 0.7
合計 12,797.0 100.0 20.5 5,958.2

※注1:「スイッチング」とは、スイッチング開始申請の件数を指します。
※注2:「再点他」とは、再点(内線設備工事を伴わない接続供給の開始)、廃止・撤去、
    アンペア変更、需要者情報変更の合計値を指します。
※注3: スイッチングのうち、切替率は経産省/エネ庁の電力調査月報における2016年3月の
    契約口数(従量電灯と低圧電力の計)と比較したものとなっています。

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2019—日本が抱えているエネルギー問題(前編)

日本の自給率と海外依存の問題
 

電気、ガス、ガソリンなどのエネルギーは、いまや生活に欠かせないものとして社会を支えています。けれども石油やLNG(液化天然ガス)などのエネルギー資源がとぼしい日本では、エネルギーを安定的に供給するためにさまざまな方策が必要です。

2017年の日本のエネルギー自給率は9.6%で、他のOECD諸国と比較すると低い水準です。過去最低だった2014年の6.4%からは上向いていますが、エネルギー自給率が低いと資源を他国に依存しなければならず、国際情勢の影響などを受けてエネルギーを安定して確保することが難しくなります。
 

主要国の一次エネルギー自給率比較(2017年)
 
主要国の一次エネルギー自給率比較(2017年)

(出典)IEA「World Energy Balances 2018」の2017年推計値、日本のみ「総合エネルギー統計」の2017年度確報値。 ※表内の順位は2017年OECD35カ国中の順位です。

我が国のエネルギー自給率
 
我が国のエネルギー自給率

(出典)IEA「World Energy Balances 2018」の2017年推計値、日本のみ「総合エネルギー統計」の2017年度確報値。 ※表内の順位は2017年OECD35カ国中の順位です。

 
とりわけ日本は、石油・石炭・LNG(液化天然ガス)などの化石燃料に大きく依存しています。2011年に起こった東⽇本⼤震災の前年、化石燃料への依存度は81.2%(⼀次エネルギー供給ベース)でしたが、原⼦⼒発電所の稼働停⽌にともなう電⼒の不⾜を火⼒発電所の焚き増しによっておぎなったことから、2017年の化石燃料への依存度は87.4%まで増加しています。

また、2018年の化石燃料の海外依存度は、石油99.7%、LNG(液化天然ガス)97.5%、石炭99.3%となっており、そのほとんどを海外からの輸入に頼っているのが現状です。
 

我が国の一次エネルギー国内供給構成の推移
 
我が国の一次エネルギー国内供給構成の推移

(出典)総合エネルギー統計
※ 当資料で扱うパーセンテージ表示については、四捨五入の関係上、合計が100%にならない場合があります。※ 再生可能エネルギー等は水力を除き、未活用エネルギーを含みます。

 

日本の化石燃料の海外依存度

原油 99.7%
LNG
(液化天然ガス)
97.5%
石炭 99.3&

 
さらに課題となるのは、資源を輸入している地域です。原油は約88%を中東地域に依存していますが、この地域は政情が安定しているとはいえません。先日も、中東のホルムズ海峡を航行中の日本関係の積み荷を積んだ船が攻撃されるという事件がありました。中東地域は、世界のエネルギー供給をささえる需要地域のひとつであり、そこでの航行の安全確保は、日本および国際エネルギー市場にとって、きわめて重要です。

石炭の輸入についても、オーストラリア一国への依存が高くなっています。一方でLNG(液化天然ガス)については、オーストラリアのほか、アジア、ロシア、中東など多様な地域から調達しています。
 

日本の化石燃料輸入先(2018年)
 
日本の化石燃料輸入先(2018年)

(出典)貿易統計

 
電気料金の変化
 

2011年の東日本大震災以降、電気料金は値上がりが続きました。原子力発電の停止影響をおぎなうために火力発電を焚き増したことに加え、2014年まで燃料価格も上昇したためです。2017年度には震災前にくらべて、家庭向けで約16%、産業向けでは約21%上昇しています。
 

電気料金平均単価の推移
 
電気料金平均単価の推移

(出典)発受電月報、各電力会社決算資料を基に作成。

 

電気料金は、使われている電源(電気をつくる方法)の種類に大きく影響されます。石油、LNG(液化天然ガス)などの化石燃料を使う火力発電は、資源を海外からの輸入にたよっていることもあって、エネルギーコストがかかり、国際的な燃料価格の影響をうけやすい電源です。2017年の電源構成における化石燃料への依存度は80.9%におよんでいます。
 

日本の電源構成の推移(供給)
 
日本の電源構成の推移(供給)

(出典)資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」

 

もうひとつ、近年の電気料金に大きな影響をあたえているのが、再生可能エネルギー(再エネ)です。2012年に導入された、再エネをあらかじめ決められた価格で買い取る「固定価格買取制度(FIT)」により、再エネの設備容量は急速に伸びてきました。将来のために再エネが増えることは大切ですが、一方で、再エネの買い取り費用は3.6兆円に達しています。その一部は「賦課金」として、私たちが払う電気料金に含まれており、賦課金の単価は年々上昇しています。これが、電気料金を押し上げている要因のひとつとなっています。
 

再生可能エネルギーなどによる設備容量の推移
 
再生可能エネルギーなどによる設備容量の推移

(出典)JPEA出荷統計、NEDOの風力発電設備実績統計、包蔵水力調査、地熱発電の現状と動向、RPS制度・固定価格買取制度認定実績などにより資源エネルギー庁作成。

固定価格買取制度導入後の賦課金の推移
 
固定価格買取制度導入後の賦課金の推移

※ 平均モデル:東京電力EPや関西電力がHPで公表している月間使用電力量260kWhのモデル

 
温室効果ガス(GHG)の排出問題
 

地球温暖化対策のために、温室効果ガス(GHG)の削減は急ぐべき問題となっていますが、石油・石炭・LNG(液化天然ガス)など化石燃料は温室効果ガスを多く排出するため、化石燃料を使う電源が増えると温室効果ガスも増えてしまいます。

東日本大震災以降、日本の温室効果ガス排出量は増加し、2013年度には過去最高となる14億トンもの温室効果ガスを排出しました。その後は減少し、2017年度は東日本大震災前の2010年度の排出量を下回りました。
 

日本の温室効果ガス排出量の推移
 
日本の温室効果ガス排出量の推移

(出典)総合エネルギー統計、環境行動計画(電気事業連合会)、日本の温室効果ガス排出量の算定結果(環境省)を基に作成。

 

とはいえ、安心はできません。「パリ協定」に基づいて定めた温室効果ガスの削減目標を実現するには、さらなる努力が必要だからです。日本は2030年までに、2013年度比で26%の温室効果ガス削減を目標としています。この数値は、他国の削減目標と比べても高いものです。
 

日本の2030年目標「2013年度比で26%削減」
 
日本の2030年目標「2013年度比で26%削減」

(出典)主要国の約束草案(温室効果ガスの排出削減目標)の比較(経済産業省作成)

 

一方、世界に目を転じてみると、世界のエネルギー起源温室効果ガスは、2016年に321億t-CO2になりました。1990年から2016年のCO2排出量を各国別に見ると、EUでは排出量は下降していますが、中国、インド、アフリカといった新興国での排出量が増加しています。

2018年の温室効果ガス排出量シェアで見ると、中国が26.6%でトップ、インドは4番手の6.7%と、日本のシェア2.7%とくらべても高いシェアを占めています。こうしたことから、新興国でCO2排出量削減の取り組みを進めていくことも重要になってきます。
 

世界のエネルギー起源温室効果ガス排出量の推移(1990~2016)
 
世界のエネルギー起源温室効果ガス排出量の推移(1990~2016)

(出典)CO2 EMISSIONS FROM FUEL COMBUSTION 2018 Highlights(IEA)エネルギー起源温室効果ガス排出量の多い国・地域のトップ10を抽出、カッコ内の数字は2016年排出量(百万トン)※ 非エネルギー起源温室効果ガス排出量は含まれていません。

各国別の温室効果ガス排出量シェア(2018年)
 
各国別の温室効果ガス排出量シェア(2018年)

(単位)CO2百万トン換算
(出典)IEA CO2 EMISSIONS FROM FUEL COMUSTION (2018 Edition)2015 Greenhouse-gas emissions(2018 Edition)

 
2030年に向けたエネルギー政策
 

さまざまな課題に対応するために、日本では将来へ向けたエネルギー政策の基本方針を定めています。「3E+S」と呼ばれるこの方針は、安全性(Safety)を大前提とし、自給率(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を同時に達成しようという考え方です。
 

3E+S

(出典)資源エネルギー庁

 

このエネルギー政策の基本方針にもとづき、2030年における日本のエネルギー需給構造のあるべき姿も提示されています。それは、エネルギー源ごとの強みが最大限に発揮され、弱みが補完されるような、多層的なエネルギー供給構造を実現することが重要だという考え方です。さまざまなエネルギーや電源を組み合わせること必要だという観点から「エネルギーミックス」とも呼ばれています。
 

一次エネルギー供給

(出典)資源エネルギー庁

 

今後は2030年に向けて、エネルギーミックスをどう実現させていくかが重要となります。

 


出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyissue2019.html

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グラフで見る世界のエネルギーと「3E+S」安定供給③

エネルギー政策でもっとも大事な点は、「安全性(Safety)」を前提とした上で、「エネルギーの安定供給(Energy Security)」を第一に考え、「経済効率性(Economic Efficiency)」の向上、つまり低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に「環境への適合(Environment)」を図ることにあります。この「3E+S」の追求は、各国のエネルギー政策に共通しています。さまざまなグラフを通して、世界各国の「3E」の状況を見てみましょう。3回目は、ひとつめの「E」である「エネルギーの安定供給(Energy Security)」に関わる、各国の「停電時間」をくらべてみましょう。


「エネルギーの安定供給」を評価するための3つの指標③停電時間
 

エネルギーの安定供給に必要なこと

 

前回でご紹介したように、エネルギーを安定的に供給するためには、「エネルギー源となる燃料などを安定的に調達する」ことと、「継続的にエネルギー供給を確保する」ことが必要となります。

このような「エネルギーの安定供給」において、世界各国がどのような状況にあるか、比較する場合に役立つのが、①エネルギー自給率、②エネルギー輸入先の多様化、③停電時間、という3つの指標です。

これまで、「自給率」「エネルギー輸入先の多様化」について見てきましたが、この2つは「調達」という側面に注目した指標でした。一方で「停電時間」は、「継続的にエネルギー供給を確保する」という、調達したエネルギーを「供給」する側面に注目し、その安定性を評価する指標となります。

いくらエネルギーを安定的に調達できても、エネルギーを実際に利用者へ届け使用してもらう段階で問題が起こってしまえば意味がありません。そのような各国のエネルギー供給状況を、「1年間」で「需要家(利用者)1軒あたり」平均して「どのくらいの時間停電しているか」という、平均停電時間(以下「年間停電時間」)の数字を手がかりに掴もうというものです。

 
実は大きく違う、各国の年間停電時間
 
年間停電時間という指標で、国際比較をしたグラフがこちらです。大規模な自然災害などによる一時的な数値の上昇を除くと、日本とドイツがもっとも短く、10~20分程度となっています。

 
主要国の年間停電時間の推移

主要国の年間停電時間の推移

(出典)海外電気事業統計2017、海外電力調査会、電気事業のデータベースより資源エネルギー庁作成

 

日本


2010年度に東日本大震災が起こり、その余震による停電(計画停電を含む)が発生したため、年間停電時間は長くなりました。しかし、それ以外の年間停電時間の平均は約20分と、ほとんど停電が起きていません。このことから、エネルギーの利用者から見た安定供給の質は、世界的に見ても高いことがわかります。

 

米国


停電時間は年ごとにバラツキが大きいものの、いずれも100分超となっています。2011年には、送電網で発生したトラブルによる停電が、カリフォルニア州南部とアリゾナ、メキシコにまたがる広範囲で起こりました。その影響は140万世帯にもおよびました。また、翌2012年には、ハリケーン・サンディによる地下変電施設の浸水・送電線の倒壊による大きな停電がありました。

 

フランス


2009年に暴風雨に見舞われ、南部で100万世帯以上が停電しました。2009年以外の年間停電時間の平均は67分であり、日本の約3倍となっています。

 

英国


大きな停電は近年起きていませんが、年間停電時間の平均は73分となっており、フランスと同程度となっています。

 

ドイツ


日本と同様、年間停電時間が平均で約20分と、安定的に供給されています。

 
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このように比較してみると、供給に関する安定性は、同じ先進国でも国によって大きく異なっていることがわかります。

 


出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/3es_graph03.html

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グラフで見る世界のエネルギーと「3E+S」安定供給②

エネルギー政策でもっとも大事な点は、「安全性(Safety)」を前提とした上で、「エネルギーの安定供給(Energy Security)」を第一に考え、「経済効率性(Economic Efficiency)」の向上、つまり低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に「環境への適合(Environment)」を図ることにあります。この「3E+S」の追求は、各国のエネルギー政策に共通しています。さまざまなグラフを通して、世界各国の「3E」の状況を見てみましょう。2回目は、ひとつめの「E」である「エネルギーの安定供給(Energy Security)」に関わる、「輸入先の多様化」の状況を紹介します。


エネルギーの安定供給に必要なこと
 

エネルギーの安定供給に必要なこと

 

前回でご紹介したように、エネルギーを安定的に供給するためには、「エネルギー源となる燃料などを安定的に調達する」ことと、「継続的にエネルギー供給を確保する」ことが必要となります。

このような「エネルギーの安定供給」において、世界各国がどのような状況にあるか、比較する場合に役立つのが、①エネルギー自給率、②エネルギー輸入先の多様化、③停電時間、という3つの指標です。前回は「①エネルギー自給率」について各国の状況を見ましたが、「②エネルギー輸入先の多様化」、中でも「化石燃料の輸入先の多様化」についてはどういう状況にあるのでしょう?

 
「エネルギーの安定供給」を評価するための3つの指標②化石燃料の輸入先の多様化
 
日本のように自給率が低い水準にある国は、エネルギー資源の調達先(輸入先)が特定の国・地域にかたよらないようにすることが大切です。調達先を分散させることで、政治、経済、社会情勢の変化に過度に左右されるリスクを減らし、エネルギーの確保を安定的にすることが可能になるからです。こうした「輸入先の多様化」は、「エネルギーの安定供給」を実現するためにきわめて重要なポイントのひとつです。

では、主要国のエネルギーの調達先はどのようになっているのでしょうか。資源エネルギー庁では、原油・天然ガス・石炭の3種のエネルギー源それぞれについて、主要国の輸入先を調べ、どの産出国がどれくらいの割合を占めているのか(寡占度)を算出。0点~10点までの点数に換算して評価をおこないました。

なお、計算にあたっては、輸入量のシェアなどの数値のほか、輸入先である産出国の「カントリーリスク」も数値化して折りこみました。「カントリーリスク」とは、対象国の政治・経済・社会環境が混乱したり不安定になったりすることで、価格が変動するといった何らかの損失をこうむるリスクのことを指します。

その結果、2014~2016年のデータでは、安定供給の評価の高い順から、フランス、日本、ドイツ、英国、米国となりました。

 
主要国のエネルギー輸入先に関するリスク評価

主要国のエネルギー輸入先に関するリスク評価

(出典)IEA, Oil/Natural gas/Coal Information databaseなどより資源エネルギー庁作成

 


 
主要国のエネルギー輸入先に関するリスク評価順位

主要国のエネルギー輸入先に関するリスク評価順位

(出典)OECDカントリーリスク評価などを基に資源エネルギー庁作成

 

主要国の評価はどうなっているの?

では、それぞれの国の評価の要因について、見ていきましょう。以下のグラフにおける0~10の点数は、10に近づくほど輸入先が多様化し、リスクが少ないことを表しています。また、各エネルギー源の横にある数字は、化石燃料の輸入量を100%とした時、各エネルギー源の輸入量がどれだけを占めているのかを示しています。赤字は2014年~2016年の平均値を、青字は2008年~2010年の平均値を算出しています。

 
フランス


フランス

(出典)IEA, Oil/Natural gas/Coal Information databaseなどより資源エネルギー庁作成 | %は化石燃料輸入量に占める当該燃料のシェア。上段が2014年~2016年、下段が2008年~2010年。


フランスでは、2014~2016年の輸入化石燃料の6割を原油、3割を天然ガス、1割を石炭が占めています。

●原油
輸入先トップ3を合わせても約40%程度を占めるシェアにとどまり、輸入先の多様化が図れているため高得点
●天然ガス
カントリーリスクの少ないノルウェー・オランダからの輸入が50%程度を超えているものの、輸入先の多様化という面で評価がダウン
●石炭
カントリーリスクの高いロシアや南アフリカなどのシェアが増加したため、低い評価

 

日本


日本

(出典)IEA, Oil/Natural gas/Coal Information databaseなどより資源エネルギー庁作成 | %は化石燃料輸入量に占める当該燃料のシェア。上段が2014年~2016年、下段が2008年~2010年。


日本では、2014~2016年の輸入化石燃料の5割を原油、2割を天然ガス、3割を石炭が占めています。

●原油
輸入先トップ3のカントリーリスクが、A~Hまでの8段階評価(Aに近づくほどリスクが少ない)中、すべてCより下。また輸入先トップ3のシェアが約70%と高いことから、相対的に低い評価。また、上位2か国(サウジアラビア・UAE)からの輸入量が60%を超え、依存度が高まっている
●天然ガス
カントリーリスクの少ないオーストラリアからの輸入量を増やしており、かつ輸入先国が約20か国に上り、輸入先の多様化の面からも高い評価
●石炭
カントリーリスクの少ないオーストラリアからの輸入量が70%弱を占めているが、輸入先の多様化が図れていないため、低い評価

 

ドイツ


ドイツ

(出典)IEA, Oil/Natural gas/Coal Information databaseなどより資源エネルギー庁作成 | %は化石燃料輸入量に占める当該燃料のシェア。上段が2014年~2016年、下段が2008年~2010年。


ドイツでは、2014~2016年の輸入化石燃料の4割を原油が、3割を天然ガスが、3割を石炭が占めています。

●原油
輸入先国は約30か国に上るものの、カントリーリスクの高いロシアへの依存度が高いため、低い評価
●天然ガス
原油と同様にロシアの依存度が高く、低い評価
●石炭
カントリーリスクの低い米国からの輸入が増加したものの、ロシア依存度が上昇したため、評価は若干ダウン

 

英国


英国

(出典)IEA, Oil/Natural gas/Coal Information databaseなどより資源エネルギー庁作成 | %は化石燃料輸入量に占める当該燃料のシェア。上段が2014年~2016年、下段が2008年~2010年。


英国では、2014~2016年の輸入化石燃料の4割弱を原油が、5割弱を天然ガスが、2割を石炭が占めています。

●原油
ノルウェーへの依存度が7割弱を占めていたものの、2014年・2015年にはアルジェリアやナイジェリアなどへの輸入多角化を進め、評価は改善
●天然ガス
原油と同様にノルウェーへの依存度が高く、低い評価
●石炭
輸入先トップ3で全体の約75%を占めており、輸入先の多様化が図れていないため、低い評価

 

米国


米国

(出典)IEA, Oil/Natural gas/Coal Information databaseなどより資源エネルギー庁作成 | %は化石燃料輸入量に占める当該燃料のシェア。上段が2014年~2016年、下段が2008年~2010年。


米国では、2014~2016年の輸入化石燃料の4割強を原油が、3割を天然ガスが、3割弱を石炭が占めています。

●原油
2008~2010年にかけては輸入先トップ3のシェアが合わせて50%に満たず、輸入先の多様化が図れていたが、2014~2016年にかけてカナダへの依存度が高まっており、低い評価
●天然ガス
輸入量のほぼ全量をカナダに依存しており、輸入先の多様化が図れていないため、評価はダウン
●石炭
8割弱をコロンビアのみから輸入しており、輸入先の多様化が図れていないため、低い評価

輸入先の多様化をいかにして図るかは、各国の課題です。輸入先のカントリーリスクを考えつつ、輸入先がかたよらないよう、最適なバランスを模索していくことが求められます。


出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/3es_graph02.html

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6月の電力スイッチング件数は前月比3.2%増

電力広域的運営推進機関が発表しました6月30日24時現在の全国スイッチング支援システム利用状況(2016年3月1日運用開始以来の累計)におけますスイッチング開始申請件数は1,238万件、前月末比で38.6万件(同3.2%)の増加となりました。

電力小売全面自由が始まりました2016年3月末時点での契約口数(従量電灯と低圧電力の合計)と比較しました各社の切替率につきましては、東京電力エリアの26.7%がトップで、関西電力エリアの25.2%、北海道電力エリアの19.8%、中部電力エリアの16.2%が続いており、全エリア合計での切替率は19.8%でした。

6月末における各社のスイッチング件数を同月の全エリア合計と比較すると、東京電力の49.5%がトップを占め、次いで関西電力の20.5%、中部電力の10.0%、九州電力の6.7%となっている。6月30日現在の、エリア別スイッチング状況は以下のとおりです。
 

<スイッチング支援システム利用状況>(6月30日24時現在の累計値)単位:千件


スイッチング開始申請 再点他申請件数
件数 全国比(%) 切替率(%)
北海道電力エリア 546.2 4.4 19.8 200.7
東北電力エリア 549.9 4.4 10.1 203.3
東京電力エリア 6,128.6 49.5 26.7 3,235.7
中部電力エリア 1,237.1 10.0 16.2 399.7
北陸電力エリア 77.5 0.6 6.3 43.4
関西電力エリア 2,540.3 20.5 25.2 986.3
中国電力エリア 264.5 2.1 7.6 117.1
四国電力エリア 196.8 1.6 10.1 82.0
九州電力エリア 832.2 6.7 13.4 421.6
沖縄電力エリア 11.4 0.1 1.5 0.6
合計 12,384.5 100.0 19.8 5,690.4

※注1:「スイッチング」とは、スイッチング開始申請の件数を指します。
※注2:「再点他」とは、再点(内線設備工事を伴わない接続供給の開始)、廃止・撤去、
    アンペア変更、需要者情報変更の合計値を指します。
※注3: スイッチングのうち、切替率は経産省/エネ庁の電力調査月報における2016年3月の
    契約口数(従量電灯と低圧電力の計)と比較したものとなっています。

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グラフで見る世界のエネルギーと「3E+S」安定供給①

エネルギー政策でもっとも大事な点は、「安全性(Safety)」を前提とした上で、「エネルギーの安定供給(Energy Security)」を第一に考え、「経済効率性(Economic Efficiency)」の向上、つまり低コストでのエネルギー供給を実現し、同時に「環境への適合(Environment)」を図ることにあります。この「3E+S」の追求は、各国のエネルギー政策に共通しています。さまざまなグラフを通して、世界各国の「3E」の状況を見てみましょう。今回はまず、ひとつめの「E」である「エネルギーの安定供給(Energy Security)」について紹介します。


「エネルギーの安定供給」の鍵は、「資源の安定的な調達」と「継続的な供給の確保」
 

「エネルギーの安定供給」の鍵は、「資源の安定的な調達」と「継続的な供給の確保」

 

エネルギーを安定的に供給するためには、何が必要でしょうか?それは、「エネルギー源となる燃料などを安定的に調達する」ことと、「継続的なエネルギー供給を確保する」ことです。

日本を例にこの2つを考えてみましょう。日本は、ほとんどのエネルギー源を海外からの輸入に頼っています。このため、もし海外でエネルギー供給上、何らかの問題が生じた場合には、資源を確保することが難しくなるという、「エネルギー源となる燃料などを安定的に調達する」ための弱点を抱えています。事実、1973年と1979年に起こったオイルショックでは、原油価格の高騰で日本経済がおびやかされました(1973年当時、石油の一次エネルギー比率は75.5%)。エネルギー消費を抑える省エネルギーの取り組みも進められてきたものの、それだけではこの弱点は解決されないため、石油に代わるエネルギーの模索を進めてリスクを分散する、国産エネルギー源を確保するなどの努力が重ねられてきました。

一方、「継続的なエネルギー供給を確保する」ことについては、近年、国内では自然災害がひんぱんに起きており、その影響でエネルギーインフラに問題が生じることも増えていることが注目されます。もしそうした問題が生じて、発電所や送電線などのエネルギー供給システムが被害を受けた場合には、経済活動や日常生活に大きな影響が出てしまいます。

このような「エネルギー源となる燃料などを安定的に調達する」「継続的なエネルギー供給を確保する」ことについて、世界各国はどのような状況にあるのでしょう?①エネルギー自給率、②エネルギー輸入先の多様化、③停電時間、という3つの指標で比較してみましょう。

 
「エネルギーの安定供給」を評価するための3つの指標 ①エネルギー自給率
 
「エネルギー自給率」とは、必要なエネルギー資源のうちどのくらいの量を自国でまかなっているか、その割合を示したものです。自給率は、国内にある石油や石炭など化石資源の豊富さや、再生可能エネルギー(再エネ)など非化石エネルギーの導入量に関連して変動します。また、省エネの取り組みが進めば、使用するエネルギーの総量が減るため、相対的に自給率の上昇につながります。

自給率が低いと、他国にエネルギー資源を依存することになります。すると、国際情勢の影響を受けやすくなり、海外で何か問題が起きた場合に、安定したエネルギー供給ができなくなる可能性があります。エネルギーの自給をある程度実現することが、エネルギーの安定供給のためには大切です。

 
一次エネルギー自給率の変化

一次エネルギー自給率の変化/></p>
<p style=(出典)IEA World Energy Balances を基に資源エネルギー庁作成

 

上のグラフは、主要国のエネルギー自給率と、その変遷を示したものです。この10年近くだけ見ても、かなりの変動があることがわかります。この変動はどのような要因で起きたものなのでしょうか?


日本
資源のとぼしい日本のエネルギー自給率は、2011年に東日本大震災が起こる前までは、20%前後の水準となっていました。しかし、震災以降、原子力発電の発電量が減少したため、一時は6%まで悪化しました。近年は、「固定価格買取制度(FIT)」の導入による再エネの発電量の増加や、原子力発電所の再稼働、省エネルギーのさらなる進展などによって、自給率は少しずつ高まってはいるものの、いまだに10%程度にとどまっています。

 
米国
2000年代後半に起こった「シェール革命」により、米国では化石燃料(原油と天然ガス)の国内生産量が大きく増加しました。さらに再エネも増加したことで、米国のエネルギー自給率は、直近の10年間で約20%も上昇しています。しばらくは、このような自給率の高い傾向が継続すると考えられます。

 
英国
北海にある海底油・ガス田(北海油田)を開発したことにより、英国は1980年頃、一次エネルギー自給率が100%を超え、エネルギー輸出国となりました。しかし、北海油田の枯渇によって原油生産量がだんだんと減少、自給率を下げる要因となっています。しかし、現在でも、自給率は約7割程度を維持しています。

 
フランス
フランスのエネルギーは、電力の7割以上を原子力発電によって供給しているという特徴があります。原子力発電は、万が一海外からの燃料調達が途絶えた場合でも、国内に保有する燃料だけで数年にわたって生産が維持できるため、IEA(国際エネルギー機関)においても自給率の計算に算入されています。このため、自給率は50%前後で安定して推移しています。

 
ドイツ
エネルギー自給率だけで見ると変化がないように見えますが、構成が異なります。かつてのドイツは、国内で産出される石炭の利用と原子力により4割程度の自給率を達成していました。近年では、再エネ導入促進政策による再エネ発電量の増加によって、自給率が増加しています。しかし一方、原子力発電所の稼働停止を進めているため、結果として自給率は同じ水準で推移する傾向になっています。

 
* * * * *
 

このように、主要国のエネルギー自給率は、その時のさまざまなエネルギー状況に応じて、移り変わっていることがわかります。とはいえ各国の自給率はいずれも4~5割以上を維持しており、資源にとぼしい日本の自給率の低さが際立っています。


出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/3es_graph01.html

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2018年度 新電力の販売量実績

経済産業省 資源エネルギー庁のデータに基づき、旧一電を除く小売電気事業者の2018年度年間電力販売量実績を以下のとおりランキングにしました。

 

<2018年度年間電力販売量実績> 単位:千kWh

順位 事業者名 合計 特高 高圧 低圧
1 (株)エネット 11,985,179 3,505,186 8,002,768 477,225
2 (株)F-Power 11,013,230 3,642,364 7,238,446 132,420
3 テプコカスタマーサービス 10,613,360 2,083,176 8,475,438 54,747
4 東京ガス(株) 6,553,457 0 0 6,553,457
5 JXTGエネルギー(株) 5,677,773 1,076,271 2,619,158 1,982,344
6 KDDI(株) 4,633,139 0 0 4,633,139
7 丸紅新電力(株) 4,188,511 801,082 3,271,654 115,775
8 大阪瓦斯(株) 3,531,903 102,491 0 3,429,412
9 (株)エナリス・パワー・マーケティング 2,720,892 105,719 2,559,492 55,682
10 オリックス(株) 2,359,430 21,852 2,324,722 12,854
11 サミットエナジー(株) 1,955,509 431,216 1,427,729 96,563
12 (株)ウエスト電力 1,891,344 0 1,878,802 12,542
13 (株)ハルエネ 1,870,577 0 106,408 1,764,169
14 ダイヤモンドパワー(株) 1,831,565 585,334 1,245,051 1,178
15 日本テクノ(株) 1,803,520 5,665 1,797,740 115
16 イーレックス(株) 1,693,457 23,727 1,669,730 0
17 昭和シェル石油(株) 1,687,095 118,501 1,346,913 221,681
18 ミツウロコグリーンエネルギー(株) 1,624,792 24,579 1,468,581 131,632
19 (株)パネイル 1,467,365 603,038 839,864 24,463
20 SBパワー(株) 1,448,321 0 36,481 1,411,840
21 シン・エナジー(株) 1,407,759 18,170 1,135,083 254,503
22 伊藤忠エネクス(株) 1,241,682 42,107 1,117,374 82,201
23 王子・伊藤忠エネクス電力販売(株) 1,180,938 212 1,138,680 42,046
24 エネサーブ(株) 1,169,080 85,440 1,066,007 17,634
25 (株)関電エネルギーソリューション 1,124,628 55,416 1,065,728 3,482
26 (株)Looop 1,096,169 20,672 498,256 577,241
27 大和ハウス工業(株) 1,047,006 1,752 1,044,922 329
28 リコージャパン(株) 1,018,860 0 944,805 74,055
29 エフビットコミュニケーションズ(株) 962,818 35,041 839,115 88,662
30 (株)東急パワーサプライ 950,586 44,981 392,430 513,177
31 (株)シナジアパワー 881,795 234,785 647,010 0
32 (株)サイサン 856,520 0 154,709 701,811
33 新日鉄住金エンジニアリング(株) 845,414 404,818 440,596 0
34 (株)新出光 844,260 509 749,064 94,687
35 MCリテールエナジー(株) 832,240 0 535,916 296,322
36 東海電力(株) 777,891 0 703,379 74,512
37 北海道瓦斯(株) 711,612 18,866 342,708 350,037
38 (株)アイ・グリッド・ソリューションズ 694,888 0 479,262 215,626
39 アーバンエナジー(株) 681,477 253,042 428,435 0
40 HTBエナジー(株) 680,426 4,826 320,126 355,474
41 イーレックス・スパーク・マーケティング(株) 662,769 0 0 662,769
42 (株)ジェイコムウエスト 642,214 0 0 642,214
43 東邦ガス(株) 604,400 40,690 35,932 527,778
44 (株)ケイ・オプティコム 571,864 0 0 571,864
45 (株)グローバルエンジニアリング 529,361 81,106 445,084 3,173
46 出光グリーンパワー(株) 521,709 65,082 449,108 7,518
47 鈴与商事(株) 508,274 1,271 457,291 49,712
48 (株)ジェイコムイースト 505,768 0 0 505,768
49 九電みらいエナジー(株) 494,536 251,269 198,759 44,512
50 中央電力エナジー(株) 444,664 0 436,904 7,760
※本ランキングは経済産業省 資源エネルギー庁のデータに基づいております。
※2018 年度の販売量実績となっております。
※東電や関電など『旧一般電気事業者』は含まれておりません。